そろそろ行く店がなくなってきたな。
次郎は今日も黒石市を昼飯徘徊していた。
午後のフィールドワークの前に腹ごしらえを目論んでいた。
うーむ、ラーメンにするかなぁ。
ん?これは、ラーメン鉄満堂の隣にこんな喫茶店あったかな。しかもランチやってそうだな。
よし、新規開拓だ。
扉は開いている。
よし。
中に入ると、ジャズが勢いよく流れ、店内にはジャズレコードが所狭しと飾られている。
昔ながらのジャズ喫茶だったのか。
おい、女将。
はい。
ランチはやってるのか?
やってますよ。
よく見ると柱にメニューが貼ってある。
ふーむ。
またはカレーかハンバーグだよな。
次郎は独りごちた。
よし、ここはハンバーグだ。
おい、女将、ハンバーグ頼む。
はい。
定番のジャズが勢い良く流れるなか、次郎は置かれた水を一気に飲み干し、さらにもう一杯自分で注いだ飲み干した。
ふー。
落ち着いたな。
お待たせした。ハンバーグです。
おう、早いな。
ほう、なんだか昭和にタイムスリップだな。悪くないぞ。
どれどれ。
卵も母ちゃんが作ったみたいだな。
ほう。
これは、煮込みハンバーグだな。甘口だ。目玉焼きがちょうどいい感じだ。懐かしの味だな。
サラダも素朴だ。スープはやや熱いな。これはご愛嬌か。
ムシャムシャ。
パクパク。
ムシャムシャ。
パクパク。
ふー。あっという間の戦闘だったな。
おい、女将。
はいよ。お会計頼む。
はい。700円です。
ほらよ。釣りはいらねーぜ。これでヴィンテージのオスカー・ピーターソンでも買い足しな。
次郎はそう言いながらキッチリ700円を女将の手に優しく載せた。
また来るぜ。
ありがとうございましたー。
暖簾越し、流れるようなピアノが次郎の背中を静かに撫でた。
続く。
ジャズ喫茶。初老の女性がやっている。少し退廃的で雰囲気がある。飯の味は普通。
3.0次郎