うお、神社のさらに奥に岩木山が…真っ直ぐや…
次郎は独りごちた。
地元で知り合いになった不動産の八重山と岩木山のそばにあるマタギ飯を出す温泉に向かっていた。
途中岩木山神社という大きな神社があり、そこに寄ったところこの景色。なかなかやるぜ。まるでギリシャの神殿さながらだな。やはり人間の考えることは同じだ。太陽を拝むのが山を拝むのか、海を拝むのか…まぁおれにはどーでもいいことだ。
さてと、詣で済んだことだしいくか。
この先を真っ直ぐだ次郎。
あいよ。
八重山は不動産屋だけあってなんでも知っている。ように見えた。
お、次郎ここだここだ。
山のホテル。
鄙びた温泉宿が出て来た。
車を降り、入り口に行くとマタギ飯の営業時間が書いてある。ほう、マタギ飯が売りなんだな。
ウィーン♪
自動ドアを入ると土産物屋があり、その右手前に件の飯屋の受付があった。
はい、いらっしゃいませ。
2名です。
どーなさいます?
じゃマタギ飯セットと、熊肉の鍋、鹿肉のスペアリブ、舞茸の天ぷらを。
はい。
それで、風呂に入ってくるんで35分後にお願いします。
はい、かしこまりました。
ここでは、飯を頼み、その間に風呂に入り、上がってくると飯ができるという優れた流儀があるようだ。
なかなかいいぞ。こりゃ。
次郎はほくそ笑んだ。
いやー、小さいが白濁色のいい風呂だったなぁ。
次郎と八重山の頭から湯気が立っている。
ガラ♪
風呂を出て食堂入った二人。
さっきの八重山だけど。
はい、どうぞこちらへ。
席に案内された。
うお!
既にセットされている、こりゃいいな!!
だろ。
二人は席に着き、釜の蓋を取った。
途端に湯気が立ち上る。
うお!こりゃうまそうな山の幸の炊き込みご飯だな♪
そして、付け合わせのクリエイティブも素晴らしい♪
はい、鹿肉のスペアリブです。
おお!これが鹿肉か!すごいなマタギ!
次郎のテンションは上がりっぱなしだった。
どれどれ。
すごいしめじだ!うまい!しめじの山の匂いがまたいい!
はい、舞茸の天ぷらです。
うほーーー、でかい!
うまそー!!
次郎は天つゆにつけて頬張った。
サクッ!
くー、なんたる食感だ!サクサクだ!
天つゆとのコラボが最高だな。
抹茶塩もあるのか!
サクッ!
うほほ!こりゃまたうまい。塩が効く!
はい、熊肉の鍋です。
来たな!
次郎は早速蓋を開けた!
湯気が龍のように昇る。
うまそー!
あ、あつ。
どれどれ。くー、あったかいから柔らかいな。臭みもないし。味はほっこりとさせる。キノコの出汁がいい。
これはなんだ?
マタギ飯のスープです。
ほう!
くおー!うまい。すまし汁のようなキノコの香り。こりゃたまらん。
スペアリブも強めの味。こりゃ鹿肉は冷えたら硬いかもな。かっかっかっ。
八重山よ、でかしたぞ!
次郎のテンションは昇る。
むしゃむしゃ
サクサク
むしゃむしゃ
ズズズズー、ズズズズー、
サクサク
むしゃむしゃ。
ゲフッ
もう食えん。
だな次郎。頼みすぎたよ。
確かに、しかしその甲斐はあった。
次郎は独りごちた。
ふー、じゃお会計を。
はい、7620円です。
こんだけ食ってか。あ、さらには温泉代も入ってるんだな。こりゃ安い。
また来るしかないな。
だろ!
ああ。ありがとよ八重山。ここは俺が。
そう言いながら次郎はキッチリ3810円を金皿に置いた。
あ、ああ、そういうことね。
八重山は独りごちた。
はい、ぴったり。ありがとうございましたー。
ラガ♪
ウィーン♪
うう、さぶっと思ったらまた雪か。
さすがマタギ、山のホテル。山の中はまだまだ冬だな。
次郎と八重山は再び車に乗り込んだ。
二人の乗った車のボンネットからは龍のような湯気が立ち昇っていた。
続く。
弘前から車で20分ほどの山奥にあるマタギ飯を食わせる温泉宿。温泉を入る間に飯を仕込んでくれる。最高のランチ。リピート間違いなし。
3.7次郎 温泉込み