じろーはん、どーでっか?
次郎は源さんが東京から訪ねて来たため、源さんが馴染みにしているという鳥ふじという焼き鳥屋に来ていた。
源さん、どーしたんですか。今回は突然。
いや、表敬訪問ですやんか。次郎はんが寂しゅうしてるとおもーて。愛でんがな。愛。
あ、愛ですか…
そうでんがな。そして、この店わしが昔から知っと名店ですやんか。知りませんでっしゃろ?
は、ま、まぁ。
この焼き鳥屋はね、もつ煮込みが絶品なんすわ。それとコブクロの味噌炒めですわ。
ま、しのごの言わんとビールいきまひょか。
ですね。
お兄さん、ビールお願いします。
はい。
店内にはメニューが上から貼ってある。
いやー、どーでっか弘前は。
うーん、まだ何も掴んでないですね正直。知り合いも少ないですし。
でっしゃろなぁ。まぁ焦らんとやることですわ。千里の道も一歩からでっせ。
あ、兄はん、サラダともつ煮込みお願いします。それと、テキトーに焼き鳥。それと椎茸焼き。
はいよ。
源さんといくと、いつも源さんのペースだ。しかし、今回ばかりはこんな感じがありがたい。
はい、ビールとお通しです。
カンパーイ!
ぐびぐびつ
プハー、うめー。ビールがうまい。
ですなぁ。
このお通しの山芋がうまいんすわー。
確かにうまいすね。
はい、サラダです。
まずはサラダ食べて食物繊維を取りなはれ。
は、はあ。
しかし、このゴマダレ、うまいな。
はい、もつ煮込みです。
きたな。これか噂の。
いやー、いつも通りうまそやなー!
源さんは七味をかけた。
確かにうまそうだ。
どれどれ。
おお!ほんとにうまい!いろんな部位がはいってるが、噛みやすく、野菜も細かくて食べやすい。何よりこの味噌スープがうまい。こりゃたまらん。ビールが進むくんだ。
やっと、次郎はんらしさがでましたな。
そういえば、最近は土地に人に仕事に慣れるのに時間がかかっています。
でっしゃろなー。うまいもん食って元気になりなさいな。
ですね。
はい、焼き鳥と椎茸です。
これまたうまそうだ。
カシラ、皮、ハツ、さがり、そして椎茸か。
うーん、うまい。この皮表面はカリカリして、中は柔らかい。カシラも歯ごたえ良く、肉汁が出てくる。うまい。椎茸も絶品だな。
さて、兄さん、コブクロの味噌炒め頼むわ。
かしこまりました。
それとビールお代わり二つね。
はい。
いやー、まぁ気張らんとゆっくりやりんしゃい。
一体源さんは何弁をしゃべっているのか、もはや皆目見当がつかん。
まぁいいか。
はい、コブクロの味噌炒めです。
ほう、イイー匂いだ。甘い味噌とニンニクの匂い。そそられる。
では、いただくとするか。
ザクッ
お、このピーマンうまい!ザクザクと小気味良い歯ごたえ。コブクロもコリコリして、味噌と溶け合ってうまい。こりゃもつ煮込みとこれがあればあとはいらんな。
でっしゃろー♪
うまいでんなー。
ザクザク
コリコリ
兄さん、チョリソーも。それとお新香。
はい。
はい、どうぞ。
このチョリソーもうまいんですわー。
なかなかうまそうだ。
パリっと言うよりシットリ系だな。ピリっとしていいな。
はい、お新香です。
ほ、なかなかいい酸っぱさだ。
むしゃむしゃ。
ゲフッ
いやー、食ったなー。
そうでんなー。いやー、次郎はんが元気になって良かったですわ。
これも愛の力やなぁ。
はは、のようですね。
ありがとうございました、源さん。
いやいや、実はわても別の野暮用がありましてな、そのついでやったんで、気にしないでおくんなまし。
もはや花魁(おいらん)だな。
次郎は独りごちた。
兄さんお会計。
はい、8800円です。
では、ここは割り勘で。
いやいや、ええですよ、ここはわてが。
ほな、4400円。
次郎は源さんに先にキッチリ半額を出されましまった。
ちっ、負けだよ何から何まで。
はは、歳の功ですな。
では、行きまひょ。
ガラガラ♪
次郎と源さんは店を出た。
はひゃー、まだ寒いでんなー。
とはいえ、少し風は緩んできてるな。
さて、二軒目いきまひょかー。
えぇ、まだ行くんですか?
夜はこれからやさかいに。
ふぅ、源さんには敵わないな。
次郎と源さんは鍛治町に消えていった。
続く。
鳥ふじ@弘前
もつ煮込み、コブクロの味噌炒めが絶品の焼き鳥屋。この二つを2回ずつ食べてもいいと思わせるうまさ。リピート必至。
3.55次郎