うーむ、小腹が減っちまったな。
次郎は神保町にいた。何冊か本を買い、どこか喫茶店に洒落込もうとしていた。
時は午後2時。
朝昼兼用で早めに飯を食べていた次郎、このまま喫茶店もいいが…カレーの名店キッチン南海は長蛇の列、喫茶店さぼうるも長蛇の列。なんだ2時だっていうのに混んでるな。
ん?おお、たまにはここに突っ込んでみるか。気にはなっていたが入ることのなかった、餃子屋スヰートポーヅ。昭和30年から満州で創業した店。なるほど、店名はそういうわけだった。
次郎は暖簾をくぐった。
いらっしゃい。
1人だ。
そこどうぞ。
入口の席に座った。
さてと、
特に種類はないな。よし、餃子定食だな。
おい、おばさん。
はい。
餃子定食、ライス小で。
はいよ。
見ると席は満席。なかなかの盛況ぶりだ。
始めに出されたお茶を飲んでまた次郎。
目の前に座る背広の男は次郎を見ているのかと思ったが、勘違いで、次郎の遥か後方をボンヤリと見つめていた。
あまりに動かないので、まるでロボットでもいるのかと間違うほどだ。
はい、おまたせしました。
突如沈黙は破られた。
おお、シンプルな定食。
餃子、味噌汁、ご飯、御新香。
なかなかうまそうなビジュアル。
どれどれ。肉汁どぶぁ〜系ではないが、皮も薄く食べやすい。中身もぎっしりはいっているな。
なかなかいいぞ。昼には。アッサリしてていくらでも食えるな。
むしゃむしゃ
パクパク
むしゃむしゃ
パクパク
ふー。あっという間のランデブーだ。
会計は?
奥でお願します。
と、かなり奥の厨房間際で会計だった。
780円です。
ほらよ、釣りで新しい餃子の皮でも買いな。
次郎は暖簾をくぐった。
ふー。腹一杯だ。
まだキッチン南海は並んでいる。
ご苦労なこって。
次郎は列を一瞥すると地下鉄の入口に向かって歩いて行った。
続く。
スヰートポーヅ@神保町
老舗の餃子屋。シンプルな味。悪くない。3.4次郎