アンガーラ♪
お、おやじ!!
今日はハロウィンだった。年に一度、ハロウィンの日だけ開店当初のコンセプトに戻り、店名の通り覆面をつけた店主が、店内BGMにイノキボンバイエがエンドレスリピートする中、ラーメンを作る日だ。
アンガーラ♪
今日はこれしか言わない。
開店当初のお約束。
アンガーラ♪
次郎も応戦した。
今日は年に一度に作る味噌ラーメンに決定。
迷わず大盛りをチョイス。
食券を渡す次郎。
アンガーラ♪
と返すおやじ。
チャッチャッチャッ
チャッチャッチャッ
いつものように人を興奮させる音がボンバイエに混ざって聞こえてくる。
ファイッ、ファイッ、ファイッ、
チャッチャッチャッ
ファイッ、ファイッ、ファイッ、
チャッチャッチャッ
ごとり。
アンガーラ♪
ぐお!来た。何というクリエイティブだ。
濃厚なあん肝味噌スープ。
味噌には、このたまごストレート麺。
ズルズルッ、ズズズズッ、
バキュームカーのように啜る次郎。
つるつるだ。あん肝がこれでもかと入ってくる。
いつも通りクオリティの高い半熟味玉。黄身が弾けとぶ。
そして、悪い肉。塩っぱい。
しかし、濃厚でうまい。
ダメだ、完敗だよ、おやじっ。
ズルズルッ
ズズズズー。
ゲフッ。
アンガーラ♪
アンガーラ♪
覆面ごしにウインクしてくるおやじ。
味な真似を。
次郎は独りごちた。
ふー、食ったなぁ。
まずは黒ウーロン茶だなこりや。
次郎はそう呟くと近くのコンビニに向かって歩き出した。
秋深まる頃だと言うのにあん肝の熱で上着を脱ぎ袖をまくる次郎。
その周囲に瘴気が漂っていた。
続く。
覆面智@神保町
年に一度のハロウィンデー。覆面したおやじが登場。あん肝味噌ラーメン。至高の味。
3.8次郎