ん?こんなところにビストロが。
ハンバーグ、チキンカツ、オムライス…
このメニューは、行くしかねーか。
次郎は自転車を止めた。
カランコロン♪
洗濯物をかかえていたが、そんなことはどーでも良かった。
一人だ。
はい、奥へどうぞ。
若めの店員が出迎える。
店内に客はそれほど多くはなかった。
といっても店内自体テーブルが6つばかりのこじんまりした店だった。
ハンバーグデミグラスソースに大海老のフライと目玉焼きが載っているプレートにサラダやスープが付いたものが昼も夜もおススメのようだったが、2500円と値段が張る。
次郎はランチメニューを見た。
ビストロらしく仕入れている国産ワインの日本地図が貼ってあった。
しかし、昼の次郎には関係なかった。
ランチメニューはと。
ロールキャベツに惹かれるが、ここは一押しのハンバーグだな。ランチメニュー用に安いのがある…と言っても1300円はなかなかだが。
おい、兄ちゃん。
はい。
ハンバーグデミグラスで。それと、ランチスープも頼む。
はい、かしこまりました。
ふぅ。隣では体の大きめの女が携帯ゲームをしながらオムライスを食べている。
食べている途中ぐらいゲームはないよなぁ。
次郎は独りごちた。
お待たせしました。
パンプキンスープです。
小ぶりのスープが出てきた。
出来立てで熱そうだ。
次郎は一口恐る恐る啜った。
うん。悪くないな。
パンプキンの甘さと生クリームと牛乳だな。オーソドックスだがちょうどいい。
食べ終える頃、ハンバーグとご飯が着弾した。
ほう、ビジュアルはなかなかだ。
キャベツにかかったフレンチドレッシングもなかなかいい。
さてと。
次郎はハンバーグにナイフを入れ、器用に箸に持ち替えた。
おう、肉汁具合はそこまででもないが、レア目のぎっしり系だな。
どれどれ。
次郎はデミグラスソースをたっぷりつけて一口頬張った。
ほう。柔らか目か。赤ワインの甘味と酸味がダブルエンジンだな。ビストロっぽい味わいだ。これにレア目な柔らかい肉がうまく溶け合う。なかなかいいぞ。
これはデミグラスをたっぷりつけるのが正解だ。
次郎はナイフを入れた中面にデミグラスをたっぷりとつけ頬張った。
うん、うまい。これだよ明智くん。下町の洋食屋とは少し異なりエレガントな味付けだな。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
一気呵成。
あっという間に食べ終わってしまった。
1300円ならもう少しボリュームがあるといいんだかな。
おい、兄ちゃん、会計だ。
はい、1620円です。ちっ、税抜きか。
ほらよ2000円だ。
釣りはくれてやる。これで、新しい黒板でも買いな。
次郎は兄ちゃんにキッチリ1620円を押し付けた。
コロンカラン♪
ありがとうございましたー。
ふー、さてと、洗濯物を出さねーとな。
再び次郎は外苑東通りに自転車を滑らせた。
続く。
笄軒@西麻布
西麻布から広尾方面に少し行ったところにあるビストロ。ピブグルマンに掲載されたらしいが、少し敷居が高め。ランチで利用が正解。一押しはハンバーグデミグラスソース。赤ワインの効いたデミグラスソースはなかなかうまい。少しボリュームが少な目かも。
3.4次郎