なるほどー。これはいい店だな。
次郎は独りごちた。
今夜は次郎は前の仕事仲間のWと飲みに来ていた。
Wは前衛的でいて古い気質も理解するバランス力のある優秀な人材だった。
そのWが勧める店だ。間違いないだろう。
場所は東北沢。知る人ぞ知る名店だった。
カランコロン♪
Wで予約してると思うが。
お待ちしておりました。
カウンターでもテーブルでも。
よし、カウンターで。
かしこまりました。
そんなやりとりをしている間に、件のWがやってきた。
久しぶりです次郎さん。
おお、久々。
ども。こちらはかなり良さげなお店なんですよ。
確かに良さそうだね。
まずは、ワインいきます?
だね。
ビオワインビストロの店だったので、二人はそれぞれ好みのビオワインをグラスで頼んだ。
そして、食べ物は…
空芯菜の炒め物と、帆立と落花生にバターポテトのムース、シャルキュトリー五種の盛り合わせ、ポロ葱のキッシュ、砂肝とマッシュルームのアヒージョ、和牛のローストでよろしく。
はい、かしこまりました。
いやー、久しぶりだね。
ですね次郎さん。
どうなの最近?
いやー、ボチボチですよ。
そうかー、まぁ今夜は美味しいもの食べて楽しもうよ。
ですね。
色々頼んだけど、楽しみですね。
だね。
まずは、フランス産のスパークリングとキャロットラペです。
ほう、いいね。
乾杯。シュワッとしていいね。
そんな話をしているうちに前菜が運ばれてきた。
なんだこりゃ!美しいビジュアルだが。
帆立と落花生、バターポテトつまりカボチャのムースです。そこにはコンソメジュレを入れてます。
なんとまぁ手間のかかる…
うま!甘くて上品で、最下層のコンソメジュレがまた一味効いて素晴らしい前菜だな。
ありがとうございます。
続いてポロ葱のキッシュです。
熱いうちにどうぞ。
おお!これもうまい。ポロ葱の食感とチーズが絶妙だ。キッシュに外れなしだな。
ですねぇ。
とW。
続いて、砂肝とマッシュルームのアヒージョです。
来たな美しいクリエイティブ。
うまいじゃねーか。砂肝がこりこりしていいな。
シャルキュトリーの五種盛り合わせです。
こちらも美しいビジュアルだ。
この豚のリエット、食べやすい軽さなのにギッシリ感がある。パテも濃厚だ。
空芯菜とキノコの炒め物です。
おお、この透明なのは?
豚の脂の部分を薄く伸ばして焼いたものです。
ほう、なんだか生ハムのような味だ。面白い。空芯菜をビストロで食べれるとはな。
はい、お待たせしました。
メインの和牛のステーキフリットです。
こりゃいわゆる和牛のローストステーキだな。
柔らかくてうまい。すぐ嚙み切れる。付け合わせのポテトがまたうまいなぁ。
ですね。
よし、デザートワインを頼むか。
はい、かしこまりました。
こちら、かなり人気のあるデザートワインです。
おお!
甘ったる過ぎず、デザートワインにしては比較的飲みやすい。
L字のカウンターの逆サイドではキャリアウーマンが一人でワインを飲んでいる。
ほう、ここは一人飲みもいけるのか。悪くないな。
ですね。
とW。
いやー次郎さん、腹一杯っすね!
だな。
さてと、会計頼む。
はい、かしこまりました。
21474円です。
おおぅ、なかなか。まぁワインもたくさん飲んだしな。飯代10000円、残りはワイン代といったところか。
次郎とWはキッチリ割り勘し、店を出た。
いやー、食いましたねー。
だなぁ。
小田急線ですか?
うん。
じゃ一緒に行きましょう。
二人は人気のまばらな東北沢駅へと消えていった。
食欲の秋。これから楽しみな季節が始まるのだった。
続く。
ルミエルネ@東北沢
ビオワイン専門のビストロ。静かで大人の雰囲気。ちょうど良い広さ。デート向きか。値段感はそこそこ。料理はどれも一工夫あり、うまい。
3.55次郎