函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

山ノ内② とんかつ 千歳船橋

f:id:hidekinghenry:20181013202522j:image

農大カツ丼。やっと出会うことになったな。

次郎は独りごちた。

 

以前から通っているとんかつ屋山ノ内。世田谷通り沿いの農大の前にある。

 

昔ながらのとんかつ屋で、初老の夫婦が切り盛りしている。

次郎はロースとんかつしか食べたことがなかったが、巷では農大学生のための農大カツ丼で有名な店である。

 

次郎は、店に入るなり、農大半カツ丼、そして、ロースかつ定食の2つを頼んだ。

既に上級クラスのなりだ。

 

はい。かしこまりました。

店主が答える。

 

暫くして、まずは農大半カツ丼が出てきた。

f:id:hidekinghenry:20181013202905j:image

おお!これだ!

この、完璧なまでのカツ丼。これでハーフか。

さすが学生向けだ。

f:id:hidekinghenry:20181013202940j:imagef:id:hidekinghenry:20181013202955j:image

こりゃうまそうだ。この玉子とじと、甘辛ダレのご飯。最高の組み合わせだ。

 

どれどれ。

ほう!うまい。いい感じのバランスだ。玉ねぎも甘く、とんかつの衣と豚肉、卵が絶妙なバランスだ。豚肉の脂身が荒々しく食欲をそそる。

 

うまい。

むしゃむしゃ。

次郎は無心にカツ丼を食べた。

 

暫くして。

f:id:hidekinghenry:20181013203150j:image

お待ちどう様です。

ロースかつ定食がでてきた。

ご飯は少なめにしてくれている。

f:id:hidekinghenry:20181013203223j:image

この豚肉を存分に使った豚汁がまたしょっぱくてうまい。

 

たまらん。

ズズズズ。

うまい。

 

そして、

f:id:hidekinghenry:20181013203314j:imagef:id:hidekinghenry:20181013203323j:image

このとんかつ、なぜか衣がとってもうまい。使っているラードがいいのか、サクサクなのにしっとりとして尚且つ独特の旨味がある。それにこのぎっしり系の豚肉がピタリと合う。噛みしめると肉汁が出て、さらに味に深みが増す。なんとも贅沢で暴力的な味。

 

うまい。有名店のいかにもなとんかつもいいが、ここのとんかつは素朴なのに、旨みが段違い。

 

白飯がすすむ。

 

次郎は半分は洋辛子とソース、残り半分は醤油で食すダブルアクセル派だ。

 

とくに、醤油は衣の味を一層引き出し、噛み締めた時の醤油と肉汁のコラボレーションがたまらなく旨い。

 

くぅー。たまらねぇ。やはりここはロースかつだな。

 

農大カツ丼も食えたし、今夜は言うことないぜ!

次郎は心の中で雄叫びをあげた。

 

 

そして、ロースかつ定食に付け合わせのナポリタンがまたうまい。懐かしさと安心感を誘う。なぜかただいまと言わずにはいられない、そんな心持ちになる味。

 

ふー。

さすがに腹一杯だ。

次郎は最近ジムに通い、痩せようと努力しているものの、今夜は度返しだ。いや、倍返しだ。

 

時に暴力的に飯を喰らう。それでこそ人生ってもんよ。

 

さてと。

おい、店主、会計だ。

 

はい。

1900円です。

 

こんだけ食べて1900円。やはりお得だぜ。

ほらよ。釣りはとっといてくれ。

これで新しいラードでも買いな。

 

次郎はキッチリ1900円をカウンターに叩きつけた。

 

ガラガラ♪

次郎は店を出た。

 

この頃の夜はすっかり涼しくなった。

いつのまにか秋が来ていたようだ。

目にはさやかに見えなかったがな。

 

誰かの詩を口ずさみながら、次郎は馬事公苑方面に消えていった。

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20181013202905j:imagef:id:hidekinghenry:20181013203150j:image

山ノ内@千歳船橋

農大カツ丼で有名な店だか、真骨頂はロースかつ定食。通は醤油でいただきます。

懐かしく優しく、そしてしっかり旨い。

3.7次郎