次郎くん、ハンバーグ食べに行かないか?
教授の誘いはいつも急だ。
しかし、味は確か。迷う理由もなかった。
是非。
次郎は即答した。
ではいつものように十番商店街で待ち合わせですね。わかりました。
そういうことになった。
どうも。
おお、次郎くん。忙しくなかったかね。
全然大丈夫ですよ、教授。
では行くか。
ずんずんずんずん。
いつものように教授は速歩きだった。
急いでついて行く次郎。
ずんずんずん。
ずんずんずん。
おお、ここだ!
春秋。
夜は結構な高級和食店。昼もいけるらしい。
さてと。
なるほど。
魚料理も気になるが…
私はハンバーグで。
そうきたか教授。
じゃ僕もハンバーグで。
二人とも目論見通りハンバーグに落ち着いた。
元気にしてたか次郎くん。
はい、なんとか。
そうか。人生楽しくやらんとな。一度きりだ。
ですね教授。
教授との会話は歩く速さと同じくスピーディ。
はい、お待たせしましたー。
おお。豪華だな。これで1300円か。お得だ。
このサラダうまそうだ。ドレッシングはオニオンだな。こりゃいい。
次郎は思い切り頬張った。シャキシャキの野菜にこのオニオンドレッシングが見事なハーモニー。
うまい。
むしゃむしゃ。
こりゃいい。
そして、
辛子のソースかと思いきや、チーズじゃねーか!これは頼もしい。
うお!
箸を入れると肉汁が溶け出した。
次郎はおもむろにバーグを頬張った。
おお!
肉ぎっしり系か。頼もしい食べ応え。肉汁も口に溢れる。うまいなこりゃ。
教授うまいすね!
だろう。なかなかいけるんだよ、次郎くん。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
しばし無言でバーグを貪る二人。
付け合わせの焼き野菜も上品な味。
むしゃむしゃ。
ふー。食ったな。
いやー、うまかったですよ教授。
だろう。
よし、行くか次郎くん。
ですね教授。
ここは私が。
あ、いや教授、僕も払いますよ。
いやいや次郎くん。また次に。
で、では、お言葉に甘えて!
スピーディに引き下がる次郎。
いやー。ご馳走さまでした教授。
おお、また行こう次郎くん。
じゃ。
そう言うと教授は歩き出した。
あ、じゃあまた。
ずんずんずんずん。
ずんずんずんずん。
あっと言う間に小さな背中になる教授。
こんな去り際の潔さを俺も身につけたいもんだぜ。
次郎は独りごちた。
麻布十番商店街は、昼過ぎの静寂にしばしの間包まれている。
さてと、次はどこで打ち合わせだったっけな。そう呟きながら次郎は六本木ヒルズへと消えて行った。
続く。
春秋@麻布十番商店街
夜は高級な和食屋。ランチはボリューミーでお得な価格。ご飯と味噌汁がお代わり放題。ハンバーグはぎっしり系でソースはアッサリポン酢。野生的な旨さ。魚も旨そう。
3.5次郎