さて、と。
おい寝屋川!何食うよ?
そ、そうっすね。うーん…迷いますっす。すす。
焼肉はどうですか?
昨日食ったばかりなんだよな。
次郎と寝屋川は麻布十番に来ていた。アポは1時半。その前に麻布十番商店街で腹ごしらえということになった。
六本木方面から一の橋側に向かって焼肉おくむらを通り過ぎ、更に工事現場を通りすぎたところに薄暗い店があった。
アイムドラゴン。
なんだこりゃ?ブルースリーか?あ?
なんすかね?これ。
あ、次郎さん、これ中華っすね。ランチもやってますっす。すす!
うーむ。よし、そこにするか!
すね!
カランコロン♪
いらっしゃいませ。
今風なカジュアルファッションに身を包んだウェイトレスが出迎える。
2人だ。
あちらへどうぞ。
奥に案内された。
ランチはコースが3種。
チャーハン、麻婆豆腐、少し豪華なコース。
むう…
私チャーハンで。
寝屋川の速い決断。
お、じ、じゃあ俺もチャーハンで。
押し切られるようにチャーハンコースを頼む次郎。
なかなか成長したな、寝屋川よ。
次郎は独りごちた。
はい。前菜です。
頼むと同時に前菜が出て来た。
安い割に、いろいろ出てきそうな気配。
お得だな。
ふむ。なかなかイケる。
はい、お待たせしましたー。
チャーハンセットですー。
おお、なかなかのボリュームだ。
点心のような器に蒸し野菜と焼売が2段重ね。そして、メインのチャーハンとスープ。彩も良い。
どれどれ。
次郎は蒸し野菜を、付けだれに浸して頬張った。
おお、ピリッとくるな。丁度いい。うまいぞ。
続いては、焼売か。
醤油と辣油、それに酢を垂らしたタレに焼売をローリングクラッシャーさせ、一気に頬張る次郎。
おお!肉汁が出て、はふはふ、うまひじゃねーか!
すね!すす!
ズズズズー!
次郎さん、スープも行けますよ!
寝屋川は既に点心を平らげチャーハンにテレポートしている。
く、速い。やるな。
次郎もスープをすする。
むっ、出汁がきいて、さらに味もしっかり付いている。単なる付け合わせじゃねーな。このスープ!
そして。チャーハンだ。
形はいい。さて、味は?
ほほう。いかにも中華屋のチャーハンだ。しかし、上品な味。角切りのチャーシューが効いてるぜ。うまいぞ。
むしゃむしゃ。
うまいっす!すす!
だな。ははは。当たりだぜ。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
ゲフッ
食ったなー。
すね!
よし、善は急げ、時は金なりだ。
会計するか。
すね!
お一人様1200円になります。
これだけ出て1200円は安いな。
よし、ここはまとめて払っとくぜ。
どもっす。
ほらよ。釣りはいらねーよ。これで新しいザーサイでも買いな!
次郎はキッチリ2400円をレジに叩きつけた。
ありがとうございましたー。
コロンカラン♪
店を出たところで次郎は寝屋川に手を出した。
どーしたんすか?
手を寝屋川の腹に突きつける次郎。
あ!割り勘すね!了解っす!すす!
寝屋川はキッチリ1200円を次郎の掌に叩きつけた。次郎さん、釣りは取っといてください。それでコーヒーでもどーぞ。
ちっ、返されたか。
腕を上げたな寝屋川。
次郎は寝屋川の後ろ姿を見ながら独りごちた。
さてと、ヒルズまで行くとするか。
そおっすね!
2人は歩き出した。
9月も終わりになってようやく風が秋らしくなってきた。
2人の横をベンツが通り過ぎて行く。
相変わらずセレブな街だぜ。
すね!
2人の短い影が麻布十番商店街のコンクリートを横切り、六本木ヒルズへと吸い込まれていった。
続く。
アイムドラゴン@麻布十番
お洒落な中華屋。昼のコースは多種の品が楽しめ、チャーハンコースはリーズナブル。ランチの強い味方。
3.4次郎。