まだ時間があるな。
よし、ここはラーメンだな。
次郎は千歳空港にいた。仕事で札幌からの帰り、時間の間隙を縫い、空港でラーメンと洒落込むことにした。
海老ラーメンの店は常に長蛇の列。そんなラーメン屋には目もくれず、次郎は函館ラーメンあじさいに突入した。
ふん、ここが俺のソウルフードだぜ。
次郎は独りごちた。
一名様?
見ればわかるだろう。いちいち聞くな。
あちらへどうぞ。
狭めのカウンターに座った。
さてと、ふーむ、よし、これだ。
おい、ねーちゃん。
はい。
はい。
久々だな♪
昔函館に住んでいた頃良く通った店だった。
思い出に浸っていると、突如沈黙は破られた。
はい、お待たせしました。
ごとり。
おお!これだ!
このビジュアル!この黒さ!
どれどれ。
うーん、背脂のコクとイカ墨の出汁と塩味のスープ、素晴らしいハーモニー。うまい。
麺は細麺。さすがだ。
かなりの量のチャーシューだ。薄くて、塩味のスープに合う。うまいぜ。
ズルズルッ
ズズズズ
はい、餃子です。
おお、忘れてたぜ。
もしゃもしゃ。こんな味だったか?まぁいい。
ズルズル、ズズズズズズズ、
ズルズル、ズズズズー
ズズズズー、ズズズズー
ふぅ、完飲か。
ゲフッ
うまかったぜ。
おい、会計頼む。
はい、1600円です。
ほらよ、釣りはいらねーよ。これで新たなイカでも買いな。
キッチリ1600円をカウンターに叩きつける次郎。
ふぅ、しかし、空港のラーメン街は混んでるな。
そう言い汗を拭きながら、お土産街に消えて行く次郎。
次から次へと新たな客がラーメン屋に吸い込まれて行く。
夏休みも終わりに近づいていた。
夏の最後のひと時を楽しむ観光客の喧騒が空港にこだました。
続く。
函館ラーメンの店。コクのある塩味のスープが有名。背脂塩ラーメンのイカ墨味が特におすすめ。
3.5次郎