新しいとんかつが食べたいな。
次郎は独りごちた。
どこかに…
そうだな、たまには山手線の東側を責めるのもいいか。
ほう。やまいちか。うまそうだな。行ってみるか。
次郎は丸の内線淡路町で電車を降りた。出口から徒歩2分ほどで件の店、やまいちにたどり着いた。
ぐ、電気が消えている。
しばらく休業します、との貼り紙。
はめられた…なんてことだ。
さてと、どーするか。
鬱陶しい雨が次郎の体を冷やす。
たしか淡路町にはもう一つうまい店があったな。えーと…そうだボンチ軒だ。ピンチに強いのが次郎さんの強みだからな。はは。
次郎は駅を挟んで対角線上のポイントに向かって歩き出した。
雨が鬱陶しい。
しばらくするとボンチ軒はひっそりと佇んでいた。
やはり、雨だしな、人通りが少ない。
ガラガラ♪
いらっしゃいませ!
1人だ。
カウンターどうぞ。
次郎はカウンターに座った。
何かお飲み物は?
いらん。水をくれ。
はい。
さてと…
メニューを見る次郎。
おい、兄ちゃん。
特ロースだ。それにメンチコロッケを追加だ。
はいよ。
シトシト雨が降り続く。
雨がシトシト降り続く。
お待たせしました。
ほう。なんだか上品だな。しかし、揚げ物は荒々しい。期待できる。
でかいな。
まずは塩でか。
ほう、良いピンク色だ。
おお、衣は薄めクリスピー。肉は食べやすく柔らかい。そして、少し甘い。
次はソースで、だな。
おお、この甘目のとんかつソース、辛子とあいまって、ロースかつととてもうまくマッチする。うまい。
さてと、今度はこのメンチコロッケだな。おお、これはメンチというだけあって肉肉しくてうまそうだ。
どれどれ、じゃがいもは甘く、それとミンチ肉がちょうど良いバランスで混ざり、なんともう荒々しい。このとんかつソースにピッタリだ。やるな。
むしゃむしゃ
おい、キャベツおかわり。
はい、かしこまりました。
むしゃむしゃ。
むしゃむしゃ。
うー、うまい。
この豚汁も具沢山でうまい。とんかつ屋の豚汁はやはりうまいな。
むしゃむしゃ。
ゲフッ
ふー、食ったな。ご馳走さん。
おい、兄ちゃん会計だ。
はい。2942円です。
ほらよ。釣りはいらねーよ。それで、新しいお椀でも買いな。
次郎ほキッチリ2492円をカウンターに叩きつけ店をでた。
ラガラガ♪
しとしとしとしと…
雨は降り続いている。
肌寒いな。
よし、少し腹ごなしに歩くか。
次郎は神保町方面にゆっくりと歩きだした。
夏になるにはまだ暫く時間が必要だった。
続く。
ボンチ軒@淡路町
この辺は有名なとんかつ屋が多い。側の神田も激戦区。ここのとんかつは特ロースが良さそう。衣はサクサククリスピー。柔らかく少しレア。塩とソースどちらもお勧め。醤油は言わないと出てこない。
3.6次郎