おう、次郎くん。元気か?
き、き、教授!
次郎はランチでフラリと入った高田馬場の喫茶店で学生時代の教授に出会った。
懐かしいな。最近何してるんだ?
い、いやぁ、まぁぼちぼちやってますよ。
教授は?
まぁ似たようなもんだな。ぼちぼちやってるよ。はっはっはっ。
はい、カツカレーです。
ほう次郎くんカツカレーか。いいな。
そういえば、この前東銀座に西邑ってうまいとんかつ屋を見つけてな。
ほう、いいですね教授。とんかつ大好きなんですよ僕。
そうか。明日一緒に行くか次郎くん?え?
え、え、あ、は、はい。
よし、行こう。じゃ午後5:30に東銀座駅集合でな。
そういうことになった。
〜翌日〜
どうも。
おう。
午後5:30。時間ピッタリに二人は東銀座で会った。
教授はずんずん歩いて行く。
ずんずんずんずん
ずんずんずんずん
ここだよ次郎くん。
おお、のぼり!
ガラガラ♪
いらっしゃっい。
予約した加藤です。
はい、こちらへどーぞ。
ところ狭しと並ぶ席。カウンターにはおばんざい料理のように大皿料理が四つ載っている。
お姉さん。上ロース二つ。次郎くんも上ロースでいいな?
は、はい教授。
はい、畏まりました。
カウンターに載っている大皿料理の一つ、肉じゃががうまそうに見えた。肉じゃがの肉が分厚い。この肉、とんかつにも使ってるのか…
こ、これは期待できるぞ。
はい、これサービスです。
え、うまそうだ…このお通し。お酒頼んでないのに。
おぉ、この大根みずみずしい。味噌もくどくなく絶妙。うまい。
はい、お待たせしました。上ロースです。
おお!
いい感じだ。塩が一人一瓶か、贅沢だ。そしてこの豚汁だ。これはうまそうだ。とんかつ屋の豚汁はとんかつの切れ端が使われたりするからうまいんだよな。野菜もギッシリだ。
さてと、
うまそうな衣だ。そして、
おぉ!中は見事にピンク。差しが綺麗に入ってるな。脂と赤身が別れてないタイプか。
これは塩を勧められているが、やはり俺は醤油だな。
次郎は醤油をかけた。
このサクサクな衣に醤油をかけると少しだけ衣がシナッとなって、醤油なのに少し甘く感じる。そこに柔らかなロース肉の食感が合わさって口の中で見事に溶け合う。
うーん、うまい。
こりゃいい。
次郎と教授は会話もせずに無心でとんかつに食らいついた。
むしゃむしゃ。
ふー。うまかった。
次郎は独りごちた。
次郎くん、どうだ?
いや、うまかったっす。これで1400円は安いです!しかも東銀座で。
だろう。
はい。
ここは、私が。
次郎くんは外で待っていてくれ。
は、はい。すいません教授。
ガラガラ♪
ふー。
いや、うまかったな次郎くん。
いや、ほんとですね。ありがとうございます。
また行こう。
ぜひ。
じゃ。
ずんずんずんずん
教授は颯爽と去って行った。
なんて清々しいんだ教授…
ふー、東銀座に新たな店を発見だな。
まだ6:30か。さてと…
お?あんなところに担々麺の名店はしごがあるな。
いやいや、まさかなぁ。はしごの意味を取り違えないようにしないとな。はは。
そう言いながら次郎はふらふらと東銀座の街へ消えていった。
続く。
西邑@東銀座
歌舞伎座の近くにある老舗のとんかつ屋。このボリュームと肉質で1400円は安い。そしてうまい。更にはサイドメニューもうまそうなものばかり且つ安い。通ってしまう予感あり!
3.7次郎