ほうとう以外になんもねーのか?あぁ?
次郎は切れた。
次郎は昨夜石和温泉にきていた。そこで入ったほうとうの店。金曜19時。広い店内に客は次郎のみ。しかし、アルバイトの中国人女性留学生に無駄に切れる先輩日本人女性。
嫌なものをみせられたぜ。
ほうとうの味も忘れちまったな。
次郎は独りごちた。
さてと、今夜はどーするか…グルメサイトを見てもあまり良さそうなものはなかった。
次郎は仕事できていたデパートの従業員に聞くと、皆口を揃え、タージマハルがいいと言う。
なんだそりゃ?インド料理か?あぁ?
と聞き返すと、
カレーですよ。カレー。美味しいんですよ。
次郎はそんな会話を思い出していた。
しかし、わざわざ石和温泉でカレーか…まぁほうとうはもういいからな…
…
よし、行くか。
次郎はデパートを出て歩いた。甲州街道をひたすら歩いた。この道が東京まで続いてることがにわかには信じられなかった。
得てして偉業とはそんなものだ。普段使ってる者からすると当たり前にしか思えない。
すべての道は東京に通ず。
ってか!はは!
次郎の空笑いは甲州の空に空虚に響いて消えた。
おぅ、ここだな。
店を見つけだした。
カランコロン♪
イラッシャリマセ♪
一人だ。
ハイ、コチラヘ。
うお!誰だ!
焦るじゃねーか。壁一面サイババか!
ま、まぁいい。
席に着いた次郎。メニューを見た。
どれどれ。
うまそうだな。多種類ある。
悩むな……
よし、ここはタージスペシャルセットだな。
おい、タージ兄!
ハイ!
このセットだ。
カレーは、チキンサイコルマ、サグマトン、さらにはキーマナスも追加だ!それとオニオンナンとガーリックチーズナン、あとはマンゴーラッシーもな!
ハイ!
ふー。
しばらくすると、つまみが運ばれてきた。
まずはこちらで。
ん?なんだこりゃ。ナンの乾燥したやつか。
どれ。
んー、味がするよーなしないよーな。
なんかあと引くな。
ハイ、タンドリーチキンです。
おお、うまそうだ。
独特の味だ。うまいな。
ボリュームもある。
ハイ、マンゴーラッシーとカレーセットです。
おお!
なんと、綺麗な色合いだ。
ラッシーもうまい!!!
おかわりしたいな。
さてと、ナンはどーだ?
おお、このオニオンナン、中にまでオニオンがぎっしりだ!やるな!
おお、うまい!
ボリュームはピザ級だな。
どれどれ、カレーはと…
おお、この赤いキーマ、辛すぎず、味はしっかりしてて、旨味もある。スパイスも効いてる。サグマトンはほうれん草が柔らかな味を出してるな。チキンサイコルマはバターが効いてて優しくてうまい。
ガーリックチーズナンはどうだ?
ほう、うまいな。ガーリックが効いてる。チーズもいい。これはチーズナンが当たりだったか…まぁいい。
ムシャムシャ
ムシャムシャ
ムシャムシャ
ムシャム…
ダ、ダメだ、俺としたことが!
ナンのボリュームがあり過ぎてもう食えねー。
ナンを二つ頼んでる場合じゃなかったな。
おい、兄さん、ラッシーお代わり!
ラッシーは別腹だな。ははっ!
ハイ、ラッシーです。
早いな!ユリオカ超特急か!
???
インド人はハテナ顔をした。
ふん、ど阿呆め。
日本をもうちょっと勉強しやがれ。
次郎は独りごちた。
ゲフッ
もう限界だ。
おい、タージ、会計だ!
いや、おまえじゃねーよ!
2200円です。
なに!あれだけ頼んでそれだけか!
高コスパだな。
く、良い店だ。
次は腹と相談だな。
ほらよ、無駄銭はビタ一文払わねーぜ。
次郎はキッチリ2200円をレジに叩きつけた。
カランコロン♪
あ、暑い…
これはスパイスの仕業か、それともサイババの霊力か。
ま、どっちでもいいか。
次郎はにんにくの口臭を撒き散らしながら、石和温泉街に消えていった。
続く。
タージマハル@石和温泉
石和はインド人が多いらしい。なぜかは不明。しかし、ここはうまい。カレーの種類が豊富。味もコスパもいい。
3.5次郎