食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

キッチングラン

狂気的な夜だった。

凍てつく東京。降り始めたみぞれ。

街は音を無くしていた。

 

次郎は夕方仕事を終え、神保町に来た。

オヤジのラーメンがたべたくなったからだ。

 

ガラガラ♪

いらっしゃい。

 

あれ。

 

弟子しかいなかった。

なんだ。

少しがっかりする次郎。

 

醤油、もやし、味玉、青唐。頼むぜ。

はいよ。

 

チャッチャッチャッ

 

はい、お待ち。

おお、今日も相変わらず美しき醤油ラーメンだ。

次郎は独りごちた。

 

ズルズルと一気に食べきった。

ご馳走さん。

 

ガラガラ♪

 

外は相変わらず寒い。みぞれは降り止まない。

それは、狂気渦巻く夜だった。

次郎は急に暴力的な気分になった。

外にある電飾看板を一台ずつ倒したい衝動にかられた。

 

そんな暴力に支配された後ろ暗い気持ちは、神保町の街にある一軒の定食屋キッチングランに吸い込まれていった。

f:id:hidekinghenry:20180201192526j:image

 

ガラガラ♪

何にするか…

f:id:hidekinghenry:20180201192324j:image

おい、おばちゃん、ハンバーグ・生姜焼き定食一つ。

はい。

厨房には老夫婦のみ。

先客は2名、離れたところに陣を張っている。

ふん、睨み合いか。俺が入って三すくみ状態だな。

次郎は独りごちた。

 

 

旦那がハンバーグを焼き、生姜焼きを炒める。

 

 

はい、お待ち。

あっという間に提供された。

f:id:hidekinghenry:20180201192735j:image

懐かしい昭和の定食屋のナポリタンの匂いがした。今は平成だったが、今夜の狂気はまるで昭和。学生運動最中の逃亡生活のようだった。

 

さてと、ズルズル!

まぁまぁだな。

 

そしてハンバーグは、と。おお、肉汁は少ないがギッチリだな。

f:id:hidekinghenry:20180201192847j:image

懐かしい味だ。家庭のハンバーグだな。

 

生姜焼きはどうだ?

おぉ、味が濃い!甘系か。うまい。

 

 

ゲフッ

 

 

さすがにきついな。ラーメンの後は。

いやしかし、今夜は狂気の夜。

俺が暴れる君にならなくてどーする!!

 

次郎はハンバーグも生姜焼きもギッチリ全部食べた。

ゲフッ

 

き、きつい…

しかし、なかなかだ。

 

 

おい、おばはん会計おいとくぜ!

次郎は860円をカウンターに叩きつけた!

 

 

ふっ、決まったな。

 

 

お客さん、今夜は50円サービス。

 

え、なんで??

 

よくわからないが50円を返された。

次郎はきつねにつままれたような気分だった。

 

ふん、まぁいい。次の資金としよう。

ガラガラ♪ 

 

コートの襟を立てる次郎。

凍てつく東京の夜は更に深まっていった。

続く。

 

f:id:hidekinghenry:20180201193526j:image

キッチングラン@神保町

オヤジの店の駅神保町にある洋食屋。学生向け。夜はリーマン向け。まぁたまにはいいか。生姜焼きがマスト。

3.3次郎