次郎は仕事で大阪に来ていた。
今夜は会議からそのまま会食があった。
ふぅ。もう昼か。ホテルにチェックインする前に北新地で腹ごしらえと行くか。
さてと…
北新地には次郎の心をくすぐるランチ営業の店がたくさんあった。夜は値の張る料理を出す店がランチはリーズナブルに同じもの提供する。
次郎の胸は踊っていた。
北新地の裏道を歩く次郎。妙な看板があった。
む。
潔ぎいいな。二種類だけか。俺の嗅覚が告げている。入れと。
一瞬逡巡したあと、次郎は店に向かった。
密やかな店構え。期待できる。
ガラガラ♪
いらっしゃい。
一人だ。
どうぞ。
次郎はカウンターに案内された。中は8名ほど座れるカウンターと小上がりがあった。
さてと、夜は会食だしな…
店主、上天丼で。
迷うことなく言い切った。
はいよ。
店主は小気味よく素材を鍋に投入していく。
次郎はその手さばきを見ながら目を閉じた。
隣のオヤジたちが仕事の愚痴を言っている。
昼間からド阿呆が。おやじの愚痴など誰も聞きたくないわ。
待つこと12分。
はいよ。
ボリュームのある上天丼が着陸した。
ぬお!さすが上!
味噌汁と漬物も旨そうだ。
まずは、目玉の海老か!
ぐ、うまい。関東風ということだか、この甘じょっぱいタレが効いてるな。衣もタレがかかっているもののサクサクしてる。海老もプリプリだ。
うまいぞ店主!
ありがとうございます。
そして、他はなんだ?
かぼちゃ、穴子、白身魚、玉ねぎ、ちくわ、ベビーコーン、もう1本海老。
すごいボリュームだ。
そして、この、タレ飯がうまいんだな。
たまらんな。穴子も白身魚もうまいな。野菜もいける。当たりだ。
さすが俺の嗅覚だ。
次郎は独りごちた。
ゲフッ
あぁ、さすがに満腹だな。
ふぅ、汗を掻いてきたぜ。
夜の会食までに腹が減るかどうか…
まぁいいか。
おい、店主会計だ。
1800円になります。
流石に上はランチにしては高いがこれなら仕方ないな。
ほらよ、釣りはとっときな!
次郎はキッチリ1800円をカウンターに叩きつけた。
ガラガラ♪
汗を掻いた次郎には冬の外気が心地良い。気がつけば店は満席だった。
いいタイミングで入ったようだな。これはついてるぜ。
さてと、ホテルにチェックインといくか。
次郎は北新地の路地に消えていった。
続く。
天富@北新地
こじんまりとした夫婦経営の天ぷら屋。うまい。衣さくさく。夜は高そうだが、ランチは割安。海老と天ぷらのタレがうまい。再訪必至。
3.7次郎