ふー、結局早稲田まで来ちまったか…
夜飯を探して半蔵門線に乗ったものの、行き過ぎた神保町を避けると、結局九段下で東西線に乗り換え、早稲田で下車してしまった次郎。
駅をでて、東京らっきょブラザーズをチラ見し、ラーメン武道家を覗いて諦め、キッチンおとぼけのインド人を一瞥をくれ歩き回ること15分。
気がつくとある店の前に立っていた。
大学生時代によく通ったラーメン屋。昔は一杯380円とめちゃ安かった。
次郎は郷愁に吸い込まれていった。
ガラガラ♪
いらっしゃいませ。
一人だ。
どうぞ。テーブルに腰かけた。
昔とほぼ変わらないメニュー。
ラーメンは400円か。20円の値上がりか。
よし、おばちゃん、ラーメン一つ頼む。
はいよ。
次郎は学生時代に想いを馳せた。
若かったな。若さだけが取り柄だった。大食らいだった。安い飯をしこたま食べることだけが人生の中心だった。
はいお待たせ。
おお、来たか!
変わってねー。嬉しいぜ。
味はどうだ?
ズルズルッ
おお、変わってない。淡白な醤油味。少し化学調味料のきいた辛さがたまらん。ここにラー油をぶち込んで更に確変だ!
ズルズルッ
うまい。懐かしい。
ズルズル、ズズズズズズッ
ズルズルッ
ぷはー、一気に駆け抜けた。
汗が吹き出る。
なぜだか泣ける味。タオルで汗も涙も拭き取った。
ふー、ご馳走さん。
キッチリ400円を置いて席を立つ次郎。
おばちゃんありがとよ。
ガラガラ♪
外に出ると、現実が押し寄せる。
財布をしまう手に刻まれた皺の数が時の経過を物語る。
ふー。
また始めからやり直すかな。
次郎は独りごちた。
懐かしい町の匂い、懐かしい風が次郎のそばを吹き抜けた。
続く。
メルシー@早稲田
早稲田生のほぼ100パーセントが知っているラーメン屋。懐かしの中華そば。そして安い。たまに無性に食べたくなる。次はチャーハンもいこう。
3.6次郎