牡蠣は美味かったんだがなぁ。
次郎は独りごちた。
オイスターバーに行くとやはり牡蠣ばかり食べてしまい、他のものをあまりたべられない。
食べたくて行ったのに結果飽きている。大概の店は他のメニューが牡蠣料理ほど充実していない。そんなジレンマである。
赤坂のオイスターバーを出た次郎。
すぐそばに木造のファサードのある店がある。
扉に一点張と書いてあった。
ん?なんだこれは。しかも出口専用か。
気になって回り込んで見るとラーメン屋だった。しかも満席。時刻は21時30分。
サラリーメンが締めの一杯に集まる場所か…大概大したことないんだよな。こういう店は。
しかし、牡蠣料理ばかり食べていた胃は他のものを、とりわけガツンとしたものを欲していた。
えい、ままよ。
ガラガラ♪
次郎は重い扉を開け放った。
いらっしゃい。
狭いがカウンターしか空いていない。
まぁいい。
次郎は所狭しと隣のデブリーメンを押しのけて座った。
ラーメン屋に入ったものの、ラーメンよりも炒飯に惹かれてしまう次郎。
うーむ、どうするか…
ふと隣のデブリーメンを見ると大盛りの炒飯を幸せそうにかきこんでいる。
く、こりゃ炒飯だな。
おい、おやじ。
炒飯中盛り。それと、餃子。さらに、チャーシューだ!
はいよ!
水を入れ、次郎は目をつぶった。
はいお待ち。チャーシューね。
ぐ、辛くてうまそうだな。
ぐしゃっ。
ほう。ちょうどいい硬さだ。下のモヤシと豆板醤が心地よい。うまいなこれは。
はい、炒飯とスープね。
うまそうだ。
む、これは、こうしたらもっとうまくなるのでは…
次郎はチャーシューを炒飯に乗せた。
おお、うまそうだ。
どれどれ。
ぐおっ、うまい。炒飯にはもともとチャーシューが入っているが、更にオンするとよりニクニクしさが溢れる。
うまいぞ!
そして、更に追い豆板醤だ。
ぐぁ、うめー!うめーよオヤジ!
はい、餃子ね。
お、忘れてた。デカイな!
なんじゃこりゃ。
ハフハフッ
うまいなこれも。
炒飯のスープあっさり魚出汁でいい口直しだ。
当たりだな。これは一軒目でもいいぞ。
むしゃむしゃッ
ズズズッ
むしゃむしゃッ
ズズズ
ゲフッ
ぐあ、口が餃子臭!
まぁ、それもいいか。
次郎は独りごちた。
よし、オヤジ会計だ。
2400ね。
ビールも飲んじまったし仕方ねーな。
ほらよ。釣りはとっときな。
次郎はキッチリ2400円をオヤジに渡し店を後にした。
ガラガラ♪
うぉう、あぶねーな!
店にはどんどん締めリーメン達が押し寄せる。入って来る客を押し分け赤坂駅に向かう次郎。
一陣の冷たい風が次郎の横をすり抜けていった。
さぶっ
秋はすぐそこまで来ていた。
続く
赤坂一点張@赤坂
味噌ラーメンの店らしいが炒飯が絶品。おつまみチャーシューとともにどうぞ。ジャンキーにうまい!!サラリーメンの味方。
3.7次郎