はーるばる来たぜザグレブ〜♪ってか!
久々のヴァカンスだな。
次郎は独りごちた。
だいぶ行くべき国も無くなってきたな。夏だしな。何は無くともアドリア海の食を味わうには絶好な土地だ。
しかし、ここはザグレブ。内陸だからな。カツレツが美味ときく。
お待たせしたね。
いえ、全然♪
今日、次郎が日中に行った美術館で知り合いになった女性が次郎の宿泊するホテルのロビーで待っていた。
じゃあ行くか。
はい♪
旅は道連れ世はうまい飯。
昔の人はよく言ったもんだ。
次郎と彼女はザグレブの街並みを散策しながら、次郎が予め調査していた店に向かっていた。
うぉう、危ない。次郎は彼女の腰を引き寄せた。そのすぐ後ろをトラムが駆け抜けて行く。
夕暮れのザグレブは美しかった。二人の距離は少し近づいた。
さてと、そろそろだな。
件の店についた。VINODOL。スタイリッシュな店内でザグレブ料理を出す有名店。
二人だしたくさん頼めますね♪
は、はは、そうだな。
一人でも何品も頼む次郎。話を合わせておいた。
じゃあ、オクトパスサラダ、ミネストローネ二つ、ザグレブステーキ、豚肉のグリル。
それと俺は白ワインだ。
私はジュースで。
次郎は彼女が酒を飲めないことに少しがっかりした。
ほう、大阪に住んでるのか。俺は東京だ。
となるともう会えないかもしれないな。
Starts, minestrones.
会話は破られた。
ほう、うまそうだな。出汁が効いてる。確か豚肉だったな。
そして、ワインとジュースも運ばれてきた。
うまい!このワイン。クロアチアワインいける。
美味しいですね!
あぁ。これはうまいな。
Octopuses salads.
ほう、これまたうまそうじゃねーか。
う、うまい。なんだかクセになるな。
そうですね♪
彼女も楽しそうに食べた。
写真を撮ってもらえます?
おうよ。
パシャリ。室内と彼女が楽しそうによく撮れていた。
ありがとうございます!
最後の夜にこんな素敵なところで食べれて良かったです!
いや、いいんだ。俺もちょうど良かったよ。
Zagreb steak.
とても大きな牛肉カツレツが来た。
これはすごいな!!
中にチーズが入ってる。
And pork steak.
ほう、これまたボリュームのある…
美味しそう♪
食べましょう!
彼女の声も跳ねた。
うまい!
次郎と彼女はもくもくと平らげ、途中でステークを交換した。
赤ワインたのむ。
sure.
こりゃまたうまい!
赤ワインも入った次郎。
会話も弾んでいた。
ゲフッ
お互いにもう限界まで腹が膨れていた。
さすがに食えねーな。
ですね♪でも、全部美味しかったですね♪
だな。いやありがとう。
ここは俺が。
え…
いやいや、俺が。
…ありがとうございます。
よくできてるじゃねーか。
料理も心ばえも。
次郎はゴールドカードでサクッと決済。もちろんチップはびた一文払わなかった。
さてと、じゃあ、次は私が奢ります♪
お、おう。
次郎と彼女は店を出て、近くの広場にあるカフェに来た。次郎と彼女は隣に座った。
夜風が通りを吹き抜け心地よい。
俺はビールを。
私はコーヒーを。
いやー気持ちいいね。
ほんとですね。あー帰りたくないなぁ♪
そうだな。ほんとに。
次郎の左腕が彼女の右腕に触れた。
ビールとコーヒーが来て乾杯した。
テラスで飲むクロアチアンビールはうまかった。
帰りはうちのホテルからタクシーを呼びなよ。
そこまで送ってくれるんですか?
もちろん。
さすが次郎さん。
…
時は過ぎた。
…
さて、お会計しようか。
ですね。ここはあたしが♪
ありがとう。
少し名残惜しい。
次郎のホテルまでの帰り道。彼女のカーディガンの肌触りが良く、それを褒めると同時に次郎はカーディガンの袖口を掴もうとして彼女の手も握ってしまった。
…
ザグレブの夜風が二人を撫でる。
気がつくと次郎のホテルまでたどり着いていた。
着きましたね♪
あぁ。
タクシー呼ぼうか。
はい。
フロントでタクシーを呼ぶ次郎。
タクシーが来るまでの間、ロビーにある二人がけのソファに座る次郎と彼女。
ただ時が過ぎた。
…
Taxi came.
あぁ。
…
来たな。
そうですね。
おもむろに立ち上がる彼女。
続いて立ち上がり車まで見送る次郎。
じゃあ。
じゃあ…
そうか連絡先も聞いてないし、
「また」
は無いのだった。
彼女が次郎を見た。
次郎は彼女を見た。
…
彼女はタクシーに収まろうとした、
その時、
次郎は手を伸ばした
ゴーッ
二人の背後をトラムが駆け抜けていく…
続く。
VINODOL @zagreb
クロアチアはザグレブの旧市街にある有名店。クロアチア料理とワインが美味しい。肉料理が得意。ミネストローネとザグレブステーキはマスト。ザグレブステーキとは牛カツレツのこと。中にチーズが入っている。
3.7ミルコ次郎クロコップ