ジロリアンか…
次郎は独りごちた。
普段ラーメン二郎には足を踏み入れない次郎。
しかし、今日はあてもなく赤坂を歩いていたため、あまり目ぼしい店の候補もなく、ふとジロリアンと書いてある黄色の看板に目が止まった。
二郎好きが高じて始めた店か…
次郎がついに二郎か。言葉遊びってか。はは。
なんだか知らないがテンションが上がっていた。
カランコロン♪
店に入ると、店主が一人で切り盛りしていた。
さてと、とりあえず普通のラーメンだな。
730円か、黒ウーロン茶もかってしまおう。
さてと、カウンターに案内された。
お客さん、トッピングは?
んー、野菜増し、にんにくシングルだ。
油はやめておこう。
はいよ。
しばらくすると背脂を超す音が聞こえてきた。
チャッチャッ♪
チャッチャッチャッ♪
心地よい音だ…
次郎は独りごちた。
はいお待ち。
ほう。いい感じだ。二郎っぽい。
なかなかのタワー増しだな。
さてと、
ふー、
次郎は一息ついて貪り始めた。
ジュルジュルッ
スースー、
ジュルジュルッ
グビッ
ふー、なかなかのもんだな。味もしっかりついている。にんにくがシングルとはいえすごいなこりゃ。鼻血がでちまうわ。かっかっかっ。
野菜増し、ニンニクダブル、油多めで!
隣を見ると見るからに食いそうなオヤジが鎮座していた。
あぁはなるまい。
次郎は心の中で合掌した。
ゲフッ。
ダメだ、もう食えん。
次郎は多少麺と野菜を残しフィニッシュ。
俺としたことが。
まぁいい、味は楽しんだ。
なかなかだったな。
カランコロン♪
よし、もう一本黒ウーロン茶を飲むか。一本じゃ足りねーな。
何本飲んでも気休めにしかならない黒ウーロン茶だが…次郎の心は落ち着いた。
店を出ると大勢の人で赤坂盛り上がっていた。
む、板前寿司…寿司屋の赤い看板が次郎の目を潤した。
…
いかんいかん、流石に今夜はまずいな。
次郎は誘惑の街赤坂を振り切るために、タクシーに飛び乗った。
次郎を乗せたタクシーのテールランプが赤坂のネオンに紛れていく。
長い夜は始まったばかりだった。
続く。
ジロリアン@赤坂
うまいラーメン屋がたくさんあるため、あまり混んでいないが、うまい。ジロリアンでない次郎には本当の二郎との味の違いがわからないが、普通にうまい。
3.3次郎