お、おやじ!
次郎は何気なく行きつけのラーメン屋の大将がやっているツイートを見ていた。
しかし、前回の時と同様、いきなりのオマール海老写真。
く、くそ、お、おやじ…
次郎は、洗濯をし、気を紛らわした。
次郎は、掃除をし、ツイートを忘れようとした。
次郎は、食器を洗い、海老を思い出さないように努めた。
ふー、家も片付いたな。
く、となりゃぁ、行くしかねーだろーがっ!
負けだよ、おやじ。
次郎は独りごちた。
次郎はコートを羽織り、綺麗になった部屋を出た。
いい天気だった。絶好の、ラーメン日和になっていた。
いつものように、神保町の駅を駆け上がり、黒ウーロン茶を買った。戦闘態勢万端だった。
お、おやじ、、
例によって店の前にはツイートでみたオマール海老がおいてあった。
ふー、大盛りだな。
またも次郎は呟いた。
ガラ♪
おぉにいちゃん、来たね!
見透かされていた。
次郎は先生パンチをおやじから食らった。
お、おやじ!
次郎は普段はないトッピングの肉ワンタンも追加し、カウンターに座した。
トッピングは、海苔、青トウガラシ、それに煮卵だ!
あいよ♪
小気味のいいやりとりだった。
ふー。次郎はこのワクワクに身を任せ目を閉じた。
はいよ。
突如沈黙は破られた。
くー、塩ラーメンのいい匂いがした。肉ワンタンもうまそうだった。
次郎はスープを一口すすった。
あっという間に口に海老の香りが広がる。
くー、来た甲斐があったぜ。うまいぜおやじ!
あいよ。うめーよなぁ。
おやじも頷いた。お前が作ったもんだろーが…しかし、うまい。塩の味がスッキリした味にし、それに海老がうまくマッチしている。
さらには、青トウガラシがまたいいスパイスに。
たまらねぇ。やっぱり幸せは間違いなく今ここにある。次郎は心の中で呟いた。
次郎が煮卵を掴むと、煮卵が弾け、緩やかな黄身が飛び出た。これがまた黄色ちぢれ麺に絡まりまろやかな味が口に広がる。
だめだ、こりゃあ!!!うますぎるぜオヤジっ!
ふー。大満足だ。いや、大満足です。
敬語を使わざるおえんだろう。
次郎は心の中で呟いた。
さてと、じゃあなオヤジ。今日もいいもん見せてもらったぜ。また来週来るよ。
ガラガラ♪
いってらっしゃーい♪
扉を開けて出た次郎の背中に、オヤジの暖かい声が追いついた。
時刻はまだ12時。
冬の暖かな陽光が次郎を照らしていた。
続く。
覆面智@神保町
今日はオマール海老出汁の塩ラーメン。まずいわけがない。海老の風味が満点で、トッピングの肉ワンタンが絶品。今月は毎週火曜日がオマール海老出汁。
3.8次郎