食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

韓国料理屋 シドニー

次郎さんは、シドニーでお友達ととても楽しく過ごしましたとさ。おわり…

 

ふん、終わるわけがないだろう。

次郎は独りごちた。

 

さて、かの地シドニーも最後の夜。

旧友たちと最後の晩餐を終え別れを惜しんだあと、次郎はホテルに戻ると軽装に着替え最後の探査に向かった。

 

最後になっちまったが仕方ない。これを食えずに終われるかってんだ。

 

次郎は歩き慣れたジョージストリートをタウンホールに向かってズンズン歩いた。

 

途中、酔っ払い、浮浪者、物乞い、工事人、たくさんの人種が思い思いの時間を過ごしていたが、次郎から言わせれば、みんな気合いが入ってない。どれも甘えている。なんだかんだ怠惰なだけで鬼気迫るものがない。

 

これだから南国はぬるいんだ。

ズンズン歩く次郎を目で追う物乞いに一瞥をくれ、次郎はタウンホールを超えセントラル方面へ歩いた。

物乞いの恨めしい目とぬるい風が次郎を絡め取る。わけのわからないジジイの白人が何か話しかけてきたが完璧な無視を決め込み、次郎は先を急いだ。

 

怠惰過ぎるおまえなどにかまっている時間はないのだ愚民が。北斗神拳をお見舞いする価値も無いわ!かっかっかっ!

 

高らかに宣言してやった。

名もなき学生どもがたむろするスターバーを通り過ぎ、リバプールストリートを左に折れた。

 

この辺からチャイナそしてコリアンの店が多くなるアジアスポットだ。

深夜12時でもやっているのは働き者のアジアンたちだ。次郎が向かった店もその1つだった。

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ふん、ここだ!

よし、やってるな!さすがだ。

 

次郎はどうしても食べたかったものがあった。新大久保にもコリアンタウンはあるが日本だとどうしても日本仕様となり食べやすくなってしまう。しかし、シドニーはコリアンのための店なので本場の味そのものでトゲトゲしい。

そして、ウエスタン料理に比べ半額程度に安かった。

You are...

 

Just one person!

見ればわかるだろう。あぁ??

勿論食べに来たんだ。チャミスルだけを飲みに来るような好きモノと一緒にするなオッパー。

 

見事な返しだ。俺も衰えてないな。

次郎は独りごちた。

 

さてと、Kimuchi soup with pork!

Immediately!

 

次郎は息巻いた。おそらく後半は無視された。

 

次郎は周りを見た。殆どが韓国人だ。しかし、シドニーで見るとなぜか仲間に見えてしまうから不思議だ。

ここではアジア人はまだまだ肩身が狭い。しかし、アジアが覇権を握る日も近くに訪れるだろう。その時はシドニー獅童新居と呼ばれるのだろう。そんな妄想が膨らんだ。

 

オマタセシタシタ

 

韓国人の店員が下手な日本語を使ってきたが満面の笑みだった。

ふん、許してやろう。いずれば兄弟さ。

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ほう、きたな、このキムチスープ!

俺はこれをまっていたんだ!グツグツと熱そうに煮えたぎるキムチスープ。キムチスープなのに更にキムチがデフォルトで出て、そしておかわり自由。さすがだよ。

いや、まてまて、味は落ちてないだろうな?ああ?

 

次郎はグツグツのスープをスプーンですくい口に入れた、

 

あちゃちゃちゃちゃ♪

あたたたた♪

 

熱い!熱いよオッパー!

しかし、これだこのピリッとくる感じがとまらん。ニンニクとキムチがコラボしてもうなんだかわからねーが、涙は出るわ鼻水は出るわの大騒ぎだ。しかしうまい。白飯をすくってからスープに浸して食うとまたうまいんだな。まるでスープカレーだ。だが、そんな上品じゃない。しかしなんだか力強さを感じるぜ。

次郎は額から汗が噴き出した。

ポトポトと垂れる汗はそのままキムチスープに着弾し、そしてそれを再び頬張る次郎。ふん、どうせ循環するんだ、どーってことねーぜ。

 

ふー、さすがに熱くて時間がかかったものの、難なく完食した。

 

ふー。もう風呂に入ったあとみてーだ。

よし、オッパー会計だ!

 

入り口でお願いシマース

 

わかったよ。じゃあなオッパー。また来るぜ!

次郎は入り口に向かった。

入り口では可愛いコリアンが次郎の汗を見て、笑いながらティッシュをくれた。

 

ふん、俺は明日でここを去るんだ。惚れちゃあいけねーよっ!

 

しかし、日本語が通じるわけもなく、

 16 dollars please.

そう言われたのみだった。

 

ち、20ドルだ。釣りで口紅でも買いな!

次郎はそう言い放ち店を出た。

 

シドニーは物価が高く、4ドルの釣りでは水しか買えないだろう。しかし、そんなことはどーでもよかった。最後にキムチスープが食べれて、旅がようやく締まった気がした。

 

ホテルへ向けて再びズンズン歩く次郎。まて新手の物乞いが次郎を上目遣いで見るが、一瞥をくれると足早に通りすぎた。

次には、なぜか裸足の浮浪者が、ゴミ箱の周りをウロウロしていたが、狭い歩道の中で巧みにこれをかわしてジョージストリートに出た。

それからズンズンホテルまで歩いた。

 

ふん、空気は自由だが怠惰だ。技術は進んでいるが知性は幼稚だ。

なにが良くてなにが悪いのか、タマムシ色な社会が確かにあった。

 

夜中のぬるい風とけぶった街灯が先行きを想像させなかった。

 

次郎は自分自身への答えも出しかねていた。

 

続く。

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リバプールストリートにある深夜まで営業している韓国料理屋@SYDNEY

キムチスープのポーク入り。これがどの韓国料理屋でも間違いない。満足の逸品。

3.7次郎

 

 

 

 

 

 

 

次郎は