函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

新記 台湾料理

なんと、改装中とは…

 

次郎は壺焼きカレーの店喜楽亭に行こうと三軒茶屋まで脚を伸ばしていた。目当ての店に来たはずなのに店がなく、次郎は地図を確認した。

 

既に通り過ぎているとの表示。

 

妙だな。見失うはずはないが…

国道246の沿道は銀杏の落ち葉で満ちていた。

銀杏を踏みしめながら、次郎はもと来た道をとぼとぼと引き返した。

東京も山手線圏内から少しでれば自然が多くなってくる。銀杏に埋め尽くされた歩道は初冬の訪れをありありと感じさせた。

 

地図で確かめた場所にもどった次郎に飛び込んで来たのは無惨な喜楽亭の姿だった。

 

なんと、改装か。よりによって。

ふー、まいったな。腹も減ったしな。

 

すぐそばに松屋が飛び込んできたが、それは良い選択肢とはいえなかった。

ん?その上になんか面白そうな中華料理屋があるな。

近寄ると、新記という台湾料理屋だった。台湾は麗郷にいったばかりだが、行ってみることにした。

階段をあがった二階に店はあった。ドアには英語で店名が書いてあった。

英語でSUN KEE と書いてある。なんだか明治時代のようで洒落ていた。

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そんな思いにふけりながらドアを開けた。

カランコロン♪

 

いらっしゃいませー

 

中華系日本語だった。

一気にローカル感が押し寄せた。

 

奥に案内された。隣にはにわかエグザイルのような客がいたが、次郎は気にせずズカズカと席に着いた。

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さてと、何がオススメなんだ。セットたくさんあってわからんな。シンガポールカレーと香港麺のセットがよさそうだな。汁あり、汁なし、C、D??なんだからよくわからんな。まぁいい知るか。おい、おやじ、注文だ!クククッ。

 

ハイ〜。

 

シンガポールカレーのセットだ、香港麺でな。ぬかるなよ。

 

次郎は半信半疑ながらメニューを閉じた。

さてと、隣のエグザイルたちは、やっぱ東京の住むのがステータスだよな、などと話している。

はー、そうかい。まぁせいぜいがんばりな。

次郎は目を閉じた。

 

ハイ。

ドカドカっ。

突如沈黙は破られた。

中国人らしくガサツに皿が置かれた。

マナーもローカルだな。気にはならないが。

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ほう、しかし旨そうだな。香港麺が細くてうまそうだ。

 

では、お手並み拝見だ。

ズズズッ。

スープがほとんどない割に味がしっかりついていてうまいな。醤油味も効いてる。細い麺がスープにしっかり絡んでうまいな。

カレーはどうだ?

おぅラクサ的な感じでいいな。スープカレーとも少し違いいかにも中華の味だ。しかし、うまいな。これは当たりだ。

 

三茶まで来た甲斐があったかは別だが、まぁ及第点だな。

 

エグザイルたちが去った後テーブルは広くなったが、カレーのスパイスにより汗が滲んできたため、早々に引き上げることにした。

 

ご馳走さんっと。

ダーシェ。

 

ザイチェン。

気分は台湾というより香港だった。

 

カランコロン♪

店をでると北風が次郎のそばを吹き抜けた。

体の火照った次郎には心地よかった。

 

さてと、このもの哀しい銀杏並木は、哀しいような優しいような…

 

何を言ってんだか俺は。

ブルッ

携帯が震えた。

 

ふん、俺はどこへいこうとしているのか。

ますます謎は深まるばかりだ。ゴーギャン先生にでも聞いてみるとするか。

 

次郎は池尻大橋から地下鉄に消えていった。

 

続く。

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新記@三宿

割と評判の台湾料理屋。小皿料理も多く、夜も楽しめそう。シンガポールカレーと香港麺が有名らしい。安くてうまい。リピート度高そう。

3.6次郎