お、おやじ、、、
次郎はウッカリしていた。
10.31ハロウィン。
この日は、この店が開店当初の時代に戻る日だった。
店に入るやいなや、イノキ、ボンバイエ、イノキ、ボンバイエ、イノキ、ボンバ、、、が鳴り響く。
ファイッ
ファイッ
ファイッ
うぉ、く、、
音楽に気圧されながら次郎は覆面の食券を押した。
ファイッ
よし、覆面ラーメンだおやじ、煮卵、ノリ、モヤシトッピングでな。
アンガーラ
そうだった、今日はアンガーラしか言わない日だったな。
ア、アンガーラ、、渋々次郎は応じた。
ふー、腹減ったな。
ファイッ
ファイッ
イノキ、ボンバイエ、イノキ、ボンバイエ、イノキ、ボンバイエ、イノキ、ボンバイエ、、、
アンガーラ。
突如イノキボンバイエは破られた。
おぉ、今日はやはり、醤油の味が濃いな。昔に戻ったってか、お手並み拝見とい、、
ファイッ
ファイッ
いくか。
おぉ、濃いな。しかし、この味だ。懐かしいぜ。モヤシも山になるほど大森うたえもんか。ククッ
今日は冴えてるぜ。
うまい。そして、懐かしい。心なしか切ないぜ。
ファイッ
ファイッ
ずずずっ。次郎は闘志が湧いて、スープを飲み干した。
ファイッ
ファイッ
ふー。今日はつい勢いで飲んじまったぜ。
つつッ。なんかピリピリするような。
気のせいか。
次郎はソロリソロリ歩き出した。
アンガーラ。
おやじに一瞥をくれて、店を出た。
さてと、やっぱり処方箋貰いに行くか…
古書店の賑わいがなんだか哀しく映る神保町の昼下がりだった。
続く。
覆面智@神保町
やはり、ラーメンは醤油だ。うまい。
3.8次郎