総本山。仰々しい名前だ。
次郎はひとりごちた。
横浜に仕事で来ていた次郎。横浜といえば吉村家。家系ラーメンの総本山。ラーメン好きは大概知っている。勿論次郎の今日の目当てであった。
ハロウィンでごった返す街の人混みをすり抜けるように次郎は横浜を歩いた。
なんだ、一風堂にさえ人が並んでるな。世も末かっ!ハロウィンだかなんだか知らねーが、浮かれやがって。次郎はハロウィンに興味がないわけではなかったが、楽しみ方がわからずイライラが募っていた。
俺にはラーメンがある。他は何もいらん。そう息巻いたが、吉村家に並ぶ人の列に心が萎えそうになった。
げ、なんだこりゃ、ハロウィンに行けっつーんだ。仕方なく最後尾に回る次郎。
何分かかるんだ、ちっ、まぁいい、ハロウィンでどこも混んでるからな。急ぐ旅路でもない。
しかし、意外にも回転は早かった。
おぉ、これなら待てそうだ。少しテンションの上がる次郎だった。
しかし、結局30分は待っただろうか。食券を買うよう促され、次郎はラーメンにほうれん草とネギをトッピングした。
お待ち。
突如沈黙は破られた。
おぉ。注文したら早いな。許してやるか。
次郎は、スープをすすった。
これよこれ。家系ラーメンの総本山はここにありか。そこまでコッテリしているわけでもなく、しかし、味はしっかりしてる。ほうれん草もうまいな。待った甲斐は、、、30分待つにはそこまででもないな。まぁたまにはいいか。満足する次郎。
よし、1000円で足りるのか?ん?あぁ?
店内は忙しく次郎の、声はかき消された。
ちっ殿様商売か。まぁいい、じゃあな総本山。俺が次来るとはおもうなよっ!
次郎は店を出た。
相変わらず浮かれた街に、浮かれた声が響いていた。
次郎はまたしても二重払いであった。
続く。
吉村家@横浜
家系ラーメンの総本山。コテコテではなくバランスの良い味。しかし、味が落ちた気がする。これなら並ぶ必要はない。
3.3次郎