ここは、50年前からやってるのよ。
仕事を終えた次郎は夕飯をどこで食べようか考えながら、麻布十番をふらふらしていると、見慣れない定食屋があり、入口に設置してあった丸イスに座っていた歯の抜けた70代に届こうかという女性に話しかけられた。
次郎は女性を無視して、看板のメニューを無心に見た。
ほう、うまそーなハンバーグだな。少し値段が高いようだな。
ここの店は旦那さんがやめちゃって今は奥さんがやってるのよ。ここは、ハンバーグよお兄さん。
ん?おれに話しているのか?
なんだこのババアは。
次郎は一瞥してまたメニューに目を戻した。
うっとおしいな、いくか。
そう思ったところで店から店員が出てきた。
何名様ですか?
1人だ。
見たらわかるだろう?何か?このババアとセットにでも見えるのか?あぁ?
そう言いたいところだったが目のみで訴えた。
カウンターにどうぞ。
次郎は気がつけば着席していた。
ふーむ、確かにハンバーグがよさそうだな。店も混んでいるし、厨房にいるコックも雰囲気があるな。よし、注文だ。
おい、ねーさん、ハンバーグだ。それとサラダもな。味噌汁も頼む。とっきゅ、、、
少し時間を頂戴しますので。
ぐ、またしても特急を遮られた次郎。
しかたねぇ、先手を打たれたか。次郎は暇つぶしに携帯を見た。ラーメンに親指が混入した事件がネットを賑わしていた。
物騒な世の中だ。
俺には関係ないけどな!
はい、お待たせ。
突如沈黙は破られた。
おお!うまそうだ!玉子がたまらないな!
さて、味はと、、、
ぐお、ぎっしりしてるのに、柔らかいな。いいバランスだ。くー、肉汁と半熟玉子のコラボがやばいなっ!
さすがは高いだけあるな。
くー、うまい。ハンバーグはやっぱり最高だな。
ち、また来るぜ、名店が一つ増えたか。
釣りはいらねーよ。次郎は2000をカウンターに叩きつけた。
ふー、秋だってのに、今夜は蒸すな。
夏の残り香が、麻布十番の街を満たしていた。
EDOYA@麻布十番
ハンバーグの店らしい。正統派な洋食屋。
ハンバーグがやはりうまい。少し割高。
3.6次郎