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食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

とんかつ 山ノ内

ラーメンも少し飽きてきたな。

 

休日出勤で振替の休みとなった今日、次郎は暇を持て余していた。

 

急に平日が休みになったって、やることがねぇな。さて、何するかな…

ん?もう1時じゃねーか。あっという間に昼だな。昼。昼。昼…昼といえば、昼飯だな。果報は寝て待て、急がば回れ、昼は昼飯ってかっ!はは、何だか楽しくなってきたぜっ!

 

次郎は1人テンションが上がっていた。

 

さてと、何を食うかだ。時間はたっぷりあるな。何せ休みだからな。

 

次郎は、機会があったら誘って下さいという女からのメールのフレーズがふと思い浮かんだ。

 

いかんいかん、弱気の虫が入り込んでいるな。あんな女願い下げと決めたじゃねーか。

 

そう言いながらラインの最後の会話を確認しようとする次郎。

 

あ、勢い余って消しちまったんだった。ちっ、焼きが回ったな俺も。

こんな弱気に勝つ方法は…弱気に勝つ、勝つ、かつ、、、そうだ、とんかつだっ!

時間もあるし、久々に山ノ内だな。あの肉汁がぶわぁーと溢れるロースカツがたまらねーんだ!

 

次郎は、昔通ったとんかつ屋山ノ内を思い描いた。

 

よし、そうと決まれば、思い立ったが千代の富士だ。ごっつぁんです!

意気揚々と次郎は家を飛び出した。

次郎は、田園都市線三軒茶屋まで行き、そこからバスに乗り換え、世田谷通りを農大前まで向かった。

 

あまり変わらねー景色だ。いいのか悪いのかってところだな。まぁいい、そろそろだな。

 

次郎はバスを降りると、山ノ内まで駆け出した。

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おう、これよ、この昔ながらの店構え。たまらねーな。

 

ガラガラ♪

引き戸を開けた。

 

おす、オヤジ、生きてたか?

心で軽口を叩きながら店に入る。昔のままの店内と油で揚がる音に胸が躍った。

 

オヤジ、ロースカツ定食!

 

超特Qね?

 

うぉ、オヤジ俺のセリフだろそれは、、、ユリオカと言いそこなったじゃねーか。

 

オヤジの先制パンチに狼狽しながらも好敵手の感覚が次郎をくすぐった。

ふー、次郎は席に着くと手近にあったスポーツ紙を読み始めた。

 

はいよ。ロースカツ定食!

突然沈黙は破られた。

 

ぐはっ!きたぞっ!これだよオヤジっ!

俺はこれを待ってたんだ。どれほど待ったかを忘れるほどにな!

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付け合せのナポリタンがたまんねーんだな。この豚バラの味噌汁も泣かせるよ。くー!

いや、いかんいかん、脇役に目が眩んじまったぜ。どれどれ、真打はどうかな?

 

次郎はとんかつを一切れ横にして取り上げた。

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ぐぉーー!肉汁がっ!

うまそー過ぎる…いただきます!

 

次郎は久々に敬語を使った気がした。サクッとした衣にジューシーで油の乗った豚肉が踊る。口にほうばって一度噛めば、肉汁が溢れだす。半分はソース、半分は醤油で。次郎はいつも通り二通りの食べ方でとんかつを味わった。

 

だめだ、じっちゃん、おらもう動けねーだ

 

突如悟空になる次郎。あっという間に平らげ、代金を置くと、いつもとは異なり、静かに店を出た。

 

ガラガラ♪

 

じっちゃん、幸せはこうやって訪れるのか…。

次郎は満足していた。しかし、一方で、これをあの子と食べれたら…

 

 

秋の風が少し冷たい世田谷通りの昼下がりだった。

 

 

続く。

 

 

とんかつ山ノ内@千歳船橋

1100円のロースカツが絶品。このボリューム。ソースもいいが醤油もうまい。幸せなひと時を送れる。

 

3.9次郎