食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

覆面智②

おやじ!

出てこいやっ!

 

次郎は、そんな気持ちで家を飛びだした。

体がおやじデブに近づいていることに気づき始めたが、しかし、B級グルメ巡りがやめられない次郎は、イライラが頂点に達していた。

 

くそ、ラーメンなんてくそくらえだっ!

ラーメンばっかり食ってる奴なんざろくな奴がいねー!おとといきやがれ!

 

罵詈雑言を吐けば吐くほど、次郎にはラーメンが刻まれ、身体を蝕んでいった。

 

ぐはっ!

くそ、なんてことだ、気がつけば、神保町のA4出口の階段を上りきっていた。

 

だめだ、食いてぇ、おらぁーラーメンが好きだ、おやじが好きだ!

 

泣きながら券売機にお金を入れる次郎。おやじに涙を隠しながら食券を渡した。

 

 

あいよっ

 

突如沈黙は破られた。

 

今日は浅蜊出し汁ね。

チャーシューも一枚多めにサービス!

 

次郎の心は一気に解放された。

うめー、うめーよおやじ、やっぱりラーメンはやめられねーよ。バスケがやりたいっすだよコンチクショー!チャーシューが口の中でとろける。このきついしょーゆ味がたまらん。

 

またくるぜっ!

 

次郎は丸味を帯びている腹をなぜながら、シャツを壁にかけ忘れたまま、店を後にした。

 

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今週は”浅蜊出し汁の悪い奴”

@覆面智

浅蜊のミキサーが出汁にコクを与え深みがましている。そしてチャーシューがトロケルのよ。

 

3.8次郎