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食い倒れ 函館次郎のひとり飯道

函館次郎が世間の荒波に抗いながらひとり飯に命を捧げる物語

鳥政

、、、さてと。

どーすっかな。

 

休日、次郎は家事を終え一息ついた。

時刻は12時35分。

 

そろそろランチ客が一回転する頃だな。

よし、行くか!

善は急げだ。

 

次郎は、クーラーと扇風機をつけっぱなしのままいそいそと出かけていった。

 

なんか忘れたような気がするな。まーいっか。ランチの方が大事だ。

 

次郎は歩き慣れた原宿をあてもなく歩いていた。平日の昼間だってのに人が多いな。

 

ドンッ

 

いて!おい、いてーじゃねーか!と声をかける間もなく人が通り過ぎて行く。なんなんだこの街は。若者だらけだ。少し腹の出た中年はすっこんでろってかっ!

くそ、中年を舐めるなよこのガキ共がっ!

次郎は周囲に一瞥をくれながら大人の街表参道方面へ上って行った。

 

さてと、そろそろ決めないとな。見上げると以前一度カマしてやった焼き鳥屋への小道が見えた。

 

むー、あの狸オヤジ、まだ達者なのか…。店の近くまでいくと焼き鳥のいい匂いが大通りまで溢れていた。

 

く、しゃーない、わかったよ古狸、再戦と行くか。次郎は焼き鳥屋の鳥政に駆け込んだ。

 

店内は雨の影響か空いた席がちらほらあった。おやじ、久しぶりだな。

久しぶりに来てやったんだサービスしろよ!

 

という顔で、カウンターに座る次郎。

 

お客さんどうします?

ドンブリを頼む!特急でな!

 

待ってる間に出されるキュウリの漬物に舌鼓を打ちながらそわそわする次郎。あー、早く食いてーな。

ちっ俺としたことが。これじゃそこいら辺の暇人マダムと一緒じゃねーか。男は黙って待つ、だな。

 

目を瞑り無心になる次郎。

 

はいよ、ドンブリ。

 

突如沈黙は破られた。見るもでかでかとした焼き鳥ドンブリがあった。

 

くほー、相変わらずうまそーじゃねーか。レバー、つくね、ねぎま、精肉。ご飯の上にかかった醤油ダレが鼻をついた。

次郎は山椒と七味をたっぷりとかけ、口内へ肉とご飯を交互にかきこんだ。

 

うぅ、うめぇ、おいオヤジ腕は落ちてないよーだな。安心したぜ。それでこそ俺の仇敵ってもんよ。心の中でつぶやきながら次郎は食べ続けた。

 

ふー。腹いっぱいだ。よし、行くか。いい仕事だった。お疲れさんっと。1300円をカウンターに叩きつけ店を出る次郎。

しかし戸口際、オヤジに首根っこを掴まれた。おい、お客さん、1350円だよ。

え?

1350円!!

 

く、くそ、いつの間に値上がりしてやがったのか、次郎は焦って財布を探すがこういうときに限って40円しかない。仕方なくもう一枚千円札を出した。

 

毎度あり。最初に渡した300円を返され、さらに100円玉で950円をじゃらじゃら渡され小銭入れに入れる暇もなく店から追い出された次郎。

 

ちっ、なんだか負けた気分だ。

この屈辱は必ず果たすぜ古狸っ!

 

そう言い捨てて次郎は傘を手に取ろうとしたが、他の客に自分の傘が持ち去られていたのだった。

 

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続く。

 

鳥政

@表参道

ランチの焼鳥ドンブリがうまい。ラーメンと小丼セットもあるがやはりここはドンブリ。レバーも美味しい。夜は高め。

3.8次郎 (ランチ)