まるで春のような温かさを函館次郎は感じていた。新宿区西早稲田にあるはちまん神社に夜遅く、思い立って初詣を行ったのだった。初詣時期はおろか、節分も過ぎ、夜遅く神社の社殿の扉も閉まっている夜、境内には次郎の外に見当たる者はない。 罰当たりな。い…
さて、と。 次郎は福島県をレンタカーでドライヴしていた。南相馬で荒涼とした景色を眺め、しばし感慨に耽っていたが、福島市内に入ると、腹が鳴った。 そういえば何もたべたなかったな。 次郎はひとりごちた。 そこからラーメンを探しあてもなく車を走らせ…
次郎は稲荷町の駅に降りた。 む、あそこの看板、どこかで見たことあるな。 次郎は暑い日差しを受けながら考え込んだ。 そうだ、Twitterだな。それでこの店が出てきたような。 寿湯に行く前に、一食入れるか。 汗かくだろうしな。 次郎はニヤリとした。 グイ…
ガラ♪ 「いらっしゃいませ」 次郎は神田に来ていた。 真夏を過ぎたというのに暑い。残暑というより、既に東京は亜熱帯気候だ。 「カンボジアみてぇだな」 次郎は独りごちた。 さて、このラーメン大戦争は、バえる写真で有名な店ということだが…。 「ふん、バ…
ただ今変身中? なんだそら? ラーメン屋のようではあるな。 まぁ他も混んでるし、行ってみてもいいか。 次郎は入店した。 中野でバラ肉のラーメンを食べにきたのだが… どの店も混んでいて、難易度の高い状況を強いられていた。 まぁたまにはいいか、フレン…
ピザラーメンって言われてもなぁ。 次郎は大井町に訪れていた。ほとんど訪れることのない未開拓の土地。 しかし、なんだかごちゃごちゃとした駅前だ。まるで下町だな。 次郎は独りごちた。 しかし、今日はこちらの下町側ではなく、南口に行った住宅街にある…
うー、脂っこいものが食いてぇなぁ。 次郎は中野にいた。 昼前に研究室の後輩の進路相談に乗っていた。 研究者として進むべきか、就職するか。 難しい決断だ。 正直次郎も未だに不安定な身。しかし、研究者は実績をあげねばいつまでたっても学生。社会人経験…
もう夕方みたいだな。 次郎は中野駅にいた。このところ午後4時頃には1日の黄昏を感じるほど日が暮れるのが早い。まだ1時だというのに、少し曇っているともう一日が終わるような気さえする。 たまらんな。時間は生命のように貴重だと、誰かが言っていたが、身…
しかし、すごい雨だ。梅雨はとっくに過ぎ、夏も終わったと言うのに。 次郎は空を恨めしげに見上げた。 10月になってもうだる暑さが続く中、久しぶりに朝から本降りの雨になっていた。 ビニール傘を叩く雨粒が大きく、次郎の傘は頼りない風情を出している。し…
おーとーこ、だったぁらー、ひとつにかけるー かけて、敗れたー♪ 敗れちゃだめだろう。はは。 次郎は独りごちた。 さてと、もう少しで神田明神だな。 次郎は神保町から御茶ノ水を通り、神田明神に向かって歩いていた。お気に入りの散歩コースの一つだ。 年も…
真昼の陽光は冬なのにぽかぽかとして、コートを着て歩いていると暑いぐらいである。 「いやー、暑いなこりゃ」 コートを脱ぐ次郎。 「う?なんだ長蛇の列じゃねぇか」 おやじの店覆面智は混雑して外待ちの列ができている。並ぼうかと迷ったが、並ぶのは性に…
Hey, Chris, Please keep good harmony with...! Ok. 彼は愛馬に合図をすると、颯爽とコースに踊り出て行った。昔次郎が騎手の通訳をしていた頃の話だ。 懐かしいな…あの日も良く晴れた冬の日だったか。次郎は神保町の街を歩きながら独りごちた。 今日は水曜…
さてと、銭湯にでも行くか。 次郎は夜家から銭湯に向かっていた。 早稲田・神楽坂界隈は昔ながらの銭湯がたくさんあり、それぞれに特徴がある。 最近ではサウナブームもあって、銭湯にも小さなサウナが付いており、結構な賑わいである。 その前に、小腹が減…
その日、次郎はゆっくりと目覚めた。このところ研究に忙しく外でゆっくり飯を食べる暇がなかった。久しぶりに今日は一日休むと決めた。 しかし、せっかくの休みでも意外と早く目が覚めてしまう。 「俺も歳かな」 次郎は独りごちた。 洗面所で顔を洗い、歯を…
夕方5時を回ったところで、次郎は五反田駅からほど近い川沿いを歩いていた。昼から病院に見舞いの予定があり、その帰り道だった。 あまり五反田には馴染みがない。ふらふらと歩いていると揚げ福というとんかつ屋を発見した。ちょうど夕飯にいいか、と辺りを…
雨か。 顔に落ちた雫に次郎は空を見上げた。気がつけば厚めの雲。降り出しそうな顔をしていた。 次郎は有楽町線を練馬で西武線に乗り換え桜台に来た。先日「美志満」に来た時に気になったラーメン屋「麺処まるよし商店」に来るためだった。 外に一名待ちか。…
3、35℃! 何という暑さだ。しかし、かと言って家に籠る気分でもない。こういう時は行くしかあるまいな。開拓心が騒ぐ。 「いつになったら誘ってくれるわけ?」 マチルダからグッドタイミングなLINE。よし、ならば誘ってやろうじゃないか。35℃に恐れをなすぐ…
お、待ち無し!これは飛び込むしかないな。 次郎は早稲田にいた。 研究室で一息つき、夜ご飯を食べに早稲田の街をいつも通り彷徨っていた。 そういえばラーメン巌哲という有名なラーメン屋があったが… どうせ混んでいるんだろう。そう思って来てみたが、意外…
こんな団地に…見過ごしてしまうな。 次郎は早稲田大学理工学部の前にある新宿中央図書館に来ていた。 民俗伝承の資料を読むためだった。 うっかり昼時を逃し、遅めの昼飯としたが、どこで食べようか悩んでいたところ、少し歩いたところにラーメン屋があると…
「で、どこに連れてってくれるの?」 「内緒」 「でも、新宿でしょ、大体目星は着くわ」 「だろうな…ま、いいじゃないか。ついてきて」 「そんな早く歩かないでよ」 「ああ、ごめん」 というカップルのようなやりとりが続いているが、年は10以上も離れている…
暇だな… 次郎は研究室を休んだ。たまに休むと、意外とやることがないもんだ。しかも、感染症で他人には会いづらい。そうなると、やることは一つだな。 次郎は家を出た。一瞬マチルダを誘ってやるか迷ったが、平日だしきっと忙しいだろうということで、いつも…
しかし泣ける。いや、泣けた。主人公の歌が心に響くんだよな。この歳にして勇気をもらうとは…不覚。 マチルダに教えてやろう。 次郎は最近流行りのアニメ映画を見に新宿に来ていた。思いの外、心に響いてしまい、途中から涙を流す自分に気づいた。一旦堰が切…
次郎は門前仲町に来ていた。今日は広告代理店に勤めている綾小路のオフィスがある茅場町で打ち合わせを行っていた。 その帰り道。 ふらりと門前仲町まで来ていた。 やはり最初にバズを起こすには何か起爆剤となるものが必要だよな。マスか、SNSか。何かを仕…
さてと、今日も暑いが、研究室に行くか。そろそろ教授と面談もしないとならないなぁ。 次郎は早稲田大学に向かっていた。 しかし、やはり昼飯を食べてからだよな。 次郎は江戸川橋で降り、三寅というラーメン屋に向かっていたが、途中にあったヨッチという洋…
う、雨か、今日は傘を持ってきてないのに… 東中野で雨に打たれる次郎。 先日は久しぶりに絶世の美女に育っていた近所の女の子マチルダと再開した。 そう言えば吉祥寺に行くんだっけか。 まぁ…歳もかなり離れているし。俺はしがない研究者。なんともなるまい…
「次郎お兄ちゃん!」 ものすごいハーフの美人が次郎を車線の反対側から呼び止めた。 「え、誰?」 怪訝な顔をする次郎。 「忘れたの!」 続け様に怒鳴りつけてくる。 なんか怒ってるみたいだな。いや、そもそもこんな綺麗な知り合いいたっけ?次郎は思いを…
「今後の展開としては、できれば東京から全国にこの動きをひろめていきたいと思っています。」 「それは、かなり大きなコンセプトですね。ただ、やはり初めに大きく成功しないとその後爆発させるのは難しいので、絵に描いた餅になってしまいせんか?」 「な…
「これは美しいクリエイティブ。」 次郎は桜台を歩いていた。真夏に雨の降る少しモヤモヤとした1日だった。 次郎は池袋から椎名町に向かっていた。行ってみたいラーメン屋があったからだった。 しかし、直前でTwitterを見ると臨時休業の文字。 「く、ミスっ…
暑い…なんだこの照りつけるような日差しは。 次郎は新大久保から新宿に向かって歩いていた、太陽から直接降りてくる日差しとアスファルトに照り返された日差しの挟み撃ちは次郎の体力を確実に奪っていく。 そうこうしているうちに、外に並んでいる店が出てき…
新しく店ができたみたいだな。 次郎はバスで汐留から恵比寿に向かっていた。 昼間の予定を終え、小腹が減ったところ、突然デザイナーの南栗橋から呼び出され恵比寿に向かっていたのだ。 南栗橋との約束までにはまだ2時間もある。仕方ない、ラーメンでも食お…