次郎はん、ランチでもどーでっか?
げ、源さん。どーしたんすか急に?
ちょっと陣中見舞いでんがな。
いや、それにしてもいきなりですね。
ほんとのところ、青森にこのあとアポがありましてな。それで思い立って寄ったんですわ。
あ、そうですか。
暇でっしゃろ?
ま、まぁ。フィールドワークは黒石市で午後ですし…
じゃ決まりやな。
黒石市ならちょうどいいですわ。いきまひょ。
ほな弘前駅で。
そう言うと源さんは電話を勝手に切った。
ちっ、いつも急だな…まぁ昼時だしいいか。
次郎は独りごちた。
弘前駅で源さんを拾い、源さんの案内で平川市の盛美園にあるレストランに向かうことになった。
な、なんでこんなところ知ってるんですか?
まぁ、ええですやん。わしも昔いろいろありましてな。かーかっかっか。
そう言うと源さんは運転中の次郎の背中をバシバシ叩いた。
危ないですよ。
かまへんかまへん。
バシバシッ♪
さてと。着きましたな。ここですわ。
「レストランけやき」とあった。
ここは?なんか道の駅みたいですね。
まぁそれに近いところですな。綺麗な庭園もありまっせ。
あ、あぁなるほど。
次郎と源さんは、建物に入っていった。土産物屋が先にあり、中にレストランがあった。
うわ、意外と混んでる。
この辺の人がぎょーさん来るんちがいまっか?知らへんけど。
そ、そうですね。
お客様お2人?
はい。
あちらのテーブルどうぞ。
2人は最後の空いていたテーブルに案内された。
ふぅ。結構メニューあるな。
?
ラーメン研究家石山なにがしプロデュースの、煮干しラーメンか。石山は有名なのか?…
それ以外は、ハンバーグやら、カレーやら、油淋鶏やら、たくさんあるな。
メニュー表からは焼きカレーがおススメっぽいなぁ。
ご注文お決まりですか?
お、ねーちゃん、かわいいでんな?この辺の子?
うふふふふ。
明らかに嫌がる店員。
ほな、わては煮干しラーメン。
うーむ、よし、私はこの焼きカレーで。
はい、かしこまりました。
源さんからいち早く退散したい気満々の店員はそそくさとテーブルを離れた。
いやー、どーでっか慣れましたか?
ま、まぁ。
楽しんでまっか?
ま、まぁ。
ま、まぁ、ばっかりでんな。あんまり楽しんでないのとちゃいまっか?
ぬぬ…
まぁ、ええですや。人生いろいろや。
かっかっかっ。
はい、お待たせしました。
ほう。これが石山何がしプロデュースのラーメンか。源さん、ちょっともらうぞ。
あら、そんな強引な。
どれどれ。
ズズ。
ほう。そんなに濃くないな。濃いめだがアッサリだ。
そして。
あ、そんな食ってもうて…
ズルズルッ!ズルズルッ!
細縮れ麺。まぁまぁか。
ま、まさか、次郎はん、チャーシューまで、そんな殺生な…
うるせぇ、チャーシュー野郎!
ほう、なかなかだ。
とほほほ。わいのラーメンが、もうほとんど残りカスやんか。
お待たせしました。焼きカレーです。
あ!
次郎は源さんが奪おうとした寸前でお盆を引き寄せる。
なかなかのビジュアルだ。
シャク♪
チーズがうまい。意外とアッサリだな。ラーメンの方がうまいかもな…
源さん、泣くな。俺の焼きカレーをくれてやる。
そ、そんな、気に入らんからって、ほんま、けったいな…
ふん、黙って食えば良いのだ。ふははははは。
次郎は高らかに笑った。
ズルズルッ♪
しゃく♪
ズルズルッ♪
しゃく、しゃく♪
ズルズル♪、ズズズズー♪、ズルズルー♪
ふぅ。ごちそうさんっと。
さ、源さん行こうか。
いきまひょか。
ここは源さんの奢りだろ。誘ったんだから。
な、なにをそんな、うまいところだけ食べたくせに。
はい、1750円です。
安いもんだろ。
なんと強引な。
はい、2000円。ねーちゃんかわええなぁ。釣りはいらんで。それで指輪でも買いや。
…
明らかに困った店員。
源さん、行くぞ。
次郎は源さんを引っ張って店の外に出た。
さてと、源さんどこまで送ればいいんだ?
青森まで。
それは無理だな。田舎館駅までだ。
そんな殺生な…
いや、好きできたんだろう。
そ、そんな殺生な〜♪
源さんの悲鳴が盛美園に轟いた。
続く。
レストランけやき@盛美園
道の駅のようなレストラン。定食屋。ラーメン評論家の石川なにがしがプロデュースした煮干しラーメンが押し。ボリュームのある定食メニューが多い。まだいくつか食べてみないと良し悪しはわからないが、悪くない。ラーメンもなかなか。
3.3次郎