函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

つな八 天ぷら 新宿

f:id:hidekinghenry:20180308001046j:image 

今夜は天ぷらが食いたい!

次郎は独り空を見上げた。

 

空は一面飛び散る雲。夕刻の太陽が所々に真っ赤な残穢を残すが、春の嵐の前触れか、逆に不気味だ。

 

沢山食べたい。ならば高級店ではなく、リーズナブル且つ胃もたれしない店。

 

つな八しかなかろう。

次郎は独りごちた。

 

行って見ると珍しく外に並びはない。

チャンスだ。

 

おう、次郎。何してんだ?

おう、三郎。奇遇だな。今暇か?

ああ。

よし、じゃあ天ぷら食おう。

そうだな。よし、行こう。

 

そういうことになった。

 

ガラガラ♪

 

二人だ。

 

少しお待ちください。

 

次郎たちは待合席に座った。

 

待つこと10分。

 

どうぞお客様。

テーブルに案内された。

 

まずは…いや、まずはというより始めから日本酒だな。

そして、コースは一番少ないコースに旬を追加することとしよう。

 

 

おい、ねーちゃん。

はい。

 

注文だ。

はい。

一番小さめの2100円のコースを2人前。中身はなんだ?

 

海老、キス、玉ねぎ、アナゴ、かき揚げ、香の物、ご飯と味噌汁です。

 

ふむ。いいだろう。

 

そして、それにな、メモの準備はいいか?

ハイ。

 

ふきのとう、揚げの納豆巻、カルシウム、牡蠣のピーマン巻…それと、鯛の何とかってやつとポロネギ、白魚海苔巻きを追加でな。

 

かき揚げの前に頼むぞ。

はい、かしこまりました。

 

ふー。

頼んだな。

 

ああ。

 

次郎達ははじめに運ばれてきた日本酒で乾杯した。

f:id:hidekinghenry:20180307234140j:imagef:id:hidekinghenry:20180307234200j:image

おお、三種の塩と天つゆだな。いいぞ。

 

 

はい、では最初に海老とキスです。

f:id:hidekinghenry:20180307234239j:image

おお、いいじゃないか!うまそうだ。

f:id:hidekinghenry:20180307234253j:imagef:id:hidekinghenry:20180307234335j:image

どれどれ、

f:id:hidekinghenry:20180307234357j:image

うん、揚げたてはうまいな。サクサクだ!

順番に持ってきてくれるのがいいなこの店は。

キスも魚臭くなく、うまい。

やはり塩だな両方。

 

ふきのとうです。

ほう、うまそうだ。

f:id:hidekinghenry:20180307234918j:image

シャキシャキして、甘い。

さすが春が伝わってくるな。

 

 

続いて納豆巻きです。

f:id:hidekinghenry:20180307235003j:image

ほう。

f:id:hidekinghenry:20180307235031j:image

うまそうだな。

納豆と揚げは合うなぁ。うまい!

 

f:id:hidekinghenry:20180307235105j:image

牡蠣ピーマンです。

 

おお、レモンが効いてるし、ピーマンのシャキシャキと牡蠣の柔らかさが熱々で素晴らしい組み合わせ。うまいぞ!ねーちゃん。

 

ありがとうございます。

 

鯛の✖︎@%☆○です。

ん?なんだっけ。まぁいいか。

f:id:hidekinghenry:20180307235249j:image

うん。鯛の皮を立たせて焼き目をつけて揚げてあるのか。

手の込んだ品だな。うまいぞ。

 

ポロネギです。

f:id:hidekinghenry:20180307235354j:image

おお!これよこれ!

肉厚のネギ、シャキシャキで甘い。

最高だな。

 

白魚海苔巻きです。

おお、ぎっしりだな!寿司を揚げたみたいなビジュアルだな。

f:id:hidekinghenry:20180308000001j:image

うん、見た目通りぎっしりとして、うまい。

うーん。幸せだな。

な、三郎。

あぁ、違いない。

 

二人は会話らしい会話もしないまま、黙々と食べ続けた。

 

 

では、そろそろかき揚げとご飯にしてよろしいでしょうか?

ねーちゃんが恐る恐る聞いてきた。

 

 

俺たちの胃袋は宇宙だってか。ははっ!

おう、そうしてくれ。

 

そう言ってから五分。

 

お待たせしました。

f:id:hidekinghenry:20180307235939j:image

来たな。少し小ぶりなかき揚げだな。ただ、胃袋にはちょうどいいな。

 

よし、まずは一口目。サクサクだ。

 

しかしだ。やはりこれだよな。

次郎はおもむろにかき揚げをご飯に乗せ、上からドボドボと天つゆをぶちまけた。

f:id:hidekinghenry:20180308000448j:image

ふん、これよこれ。

燦然と輝くかき揚げご飯。

 

次郎は一気にかき込んだ。

 

うーん。うまい!

 

 

ズズズズッ

味噌汁で、締まったな。

 

完璧だ。

 

次郎、完勝だよ。

だな。

 

満足し切った二人。

 

おい、ねーちゃん会計だ。

 

出口でお願いします。

 

おうよ。

お二人で10800円です。

 

ふん、そんなもんだろうな。

宵越しの銭はもたねぇ主義でな。

まとめてとっときな!釣りはいらねーよ!

次郎は三郎の分もまとめてきっちり10800円をレジの皿に叩きつけた。

 

いやー、リーズナブル且つ胃もたれ、うまい。最高の夜だな三郎。

 

だな次郎。

ほらよ半額だ。

サンクス。

 

 

ガラガラ♪

店を出たふたり。

 

 

ゲフッ

流石にきついか。

 

次郎、じゃまたな!

ああ、またな。

三郎は去り際も潔い。

 

ふぅ。

さてと、帰るかな。

 

ビュー!

うおっと。

さすが風が強い。嵐の前触れだな。

早目に帰るとするか。

 

次郎はいそいそと、新宿三丁目駅に消えて行った。

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20180308001046j:image

つな八@新宿三丁目

老舗の天ぷら屋。そばに同じく船橋という天ぷら屋があるが、味も雰囲気もこちらが上。値段はリーズナブル。沢山食べたい時にピッタリ。

3.7次郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歓迎 羽根つき餃子 京橋

f:id:hidekinghenry:20180306154626j:image

次郎は上野に向かっていた。

しかし、その前に腹ごしらえだな。

 

上野は何も思い浮かばんしなぁ。とはいえ、浅草は行き過ぎだしなぁ。

 

よし、今日は京橋のスープカレーにでもいくか!

次郎は銀座線は京橋で途中下車した。

 

駅は駅ビルと直結していた。

ん?なにやら店が沢山あるな。少し覗いてみるか。

 

一階、地下一階とレストランが沢山、軒を連ねていた。

 

迷うな。

スープカレーはどーするかな…

いいか、たまには。

次郎はいくつか店を回ったあと、

 

よし今日は中華にするか!

そういうことになった。

 

1人だ。

こちらへどーぞ。

 

12時には少し早かったため、店内は空いていた。

 

さてと。

よし、餃子2人前。そして、この当店ナンバーワンのそぼろ丼を頼む。

 

はい、かしこまりました。

 

ふう。頼みすぎか。

まぁいい。

次郎は独りごちた。

 

はい、餃子です。

f:id:hidekinghenry:20180306153254j:image

ぐお!でかい!

やはり一人前でよかったな!

どれどれ。

おお、内側からつゆが溢れる。小龍包的餃子だ。熱々でうまい。皮はもちもちでぶ厚めだな。

うん、うまいぞ。しかし、2人前はきつい!

 

はい、そぼろ丼です。

f:id:hidekinghenry:20180306153455j:image

ぐお!来た!この目玉焼き!

間違いないじゃねーかこのビジュアル。

 

となると、これだよな。

f:id:hidekinghenry:20180306153539j:image

うおー、噴火だー!土石流だー!

うまそーだー!!

f:id:hidekinghenry:20180306153611j:image

どれどれ。次郎は土石流を丸ごと口に放り込んだ。まるで火の神だ。

 

ぐぁ!うまい!

とろとろの半熟卵、シャキシャキのインゲン、味の濃い挽肉、そしてご飯。

これは、なんのカルテットだ?ぁぁ!?

 

うまい!

 

ガツガツッ

 

ムシャムシャ。

 

ふー。

 

ダメだそぼろ丼は完食したが、餃子は食えねー。すまんな誰か。

 

 

ゲフッ

 

 

ふー。苦しい。

 

 

おい、会計だ。

2100円です。

 

ふん、まぁそんなもんだろう。

ほらよ。釣りはいらねーよ!

ダーシェ。

次郎はきっちり2100円をテーブルに叩きつけた。

 

さてと、これから俺はどこにいくんだっけな?

おお、上野か。

 

満腹ゆえ、もうどーでもいいな。

 

仕方ねえ。行くか。

 

次郎は地下鉄へ足早に消えていった。

 

春の陽光が京橋の街を穏やかに照らし出していた。

 

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20180306153411j:imagef:id:hidekinghenry:20180306153254j:image

歓迎@京橋

羽根つき餃子の店。しかし、ランチはなんといってもこのそぼろ丼。ガパオライスによく似ているが、ビジュアルが圧倒的でうまい。これを食べにまた来たい。

3.65次郎

 

 

 

 

 

はし田屋 渋谷 並木橋付近

さてと、何を食うかな。

そういえば、この前のカレー屋の付近に怪しげな和食屋があったな。バスク料理もいいし、もう一度行って見るか。

 

次郎は自転車を走らせた。

 

木橋を左に折れて、バスク料理屋に着いた。時刻は13:30ジャスト。

 

よし、まだ間に合うか!

ガラ♪

 

すいません、本日は終わりでして…

 

ちっ、またか!厳しいな。

ラガ♪

 

ふん、まぁいい。

あっちの怪しげな店に行って見るか。

 

お、ここだここだ。

おう、なんだここは鳥料理・親子丼の店か。

 

ガラガラ♪

いらっしゃい。お好きなところにどうぞ。

 

店内は暗かった。次郎は手前の席に着席した。

チキン南蛮、親子丼…迷わず親子丼だな。

 

おい。

はい。

親子丼頼む。

50円で鳥スープつきますが、いかがですか?

 

ええい、それも頼む!

 

はいよ♪

してやられた感があったが、詮無きことだ。

 

はい、お待たせしました。

f:id:hidekinghenry:20180306150835j:image

おお!このビジュアル!センスの塊だ。

では、七味を。

f:id:hidekinghenry:20180306150917j:image

ますます、うまそうだ。

では、いただくか。

 

おお!柔らかい。うまい。卵がふわふわだ。だし汁の味も甘辛でいい。この最後の生卵が崩れてまたいい!

ふん、合格だ!

 

ズズッ

 

ズズズズッ

 

親子丼は飲み物だな。

 

ふぅ。

あっという間に旅が終わってしまった。

 

最後に鳥スープだな。

うん。締まる。

 

 

おい、ねーちゃん会計だ。

はい、950円です。

 

ほらよ。うまかったぜ。

次郎はキッチリ950円をカウンターに叩きつけ、席を立った。

 

ラガラガ♪

ふー。

最近飲み物ばかり食べてるな。

まぁいい。

次郎は再び代官山方面に自転車を走らせた。

 

ウインナー珈琲でも飲むかな。

 

快晴。

午後は真っ盛りを迎えていた。

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20180306151512j:image

はし田屋@渋谷 並木橋付近。

夜は鳥料理の店。昼はチキン南蛮と親子丼。なかなかうまい。夜も期待させる味。

3.5次郎

 

 

 

 

 

カレーハウス チリチリ 渋谷

f:id:hidekinghenry:20180306194054j:image

結局カレーか。

 

次郎は昼時、渋谷を彷徨っていた。

目当てのバスク料理屋は、すんでのところでラストオーダー。

くそっ、世知辛い世の中だ。

 

どーするか…

ふと見ると人が外で待っている店があった。

 

カレーハウスチリチリ…むー。

ほかに店も見当たらないしな。よし、今日はここに入ってみるか。

f:id:hidekinghenry:20180306144409j:imagef:id:hidekinghenry:20180306144417j:image

ぉまちのかたどーぞぉー!

 

中からけたたましいおばさんの声が聞こえて来た。

 

よし。

カランコロン♪

 

お客さん奥へお願いします!

 

お、おう。

 

何にしましょう?

 

うーむ…

ミックスマサラにゆで卵トッピングだ。

 

はいよ。

f:id:hidekinghenry:20180306144626j:image

おお、あれが俺のミックスマサラになるわけだな。

 

チーズ、ほうれん草、トマトか。

 

夫婦経営の店。旦那が忙しそうにいくつものカレーをテキパキ作っていく。

 

おい、あっち行ってよ!

夫婦間の仲は今日は雨模様。

 

ま、俺には関係ないがな。

 

はい、おまたせしました。

f:id:hidekinghenry:20180306144841j:image

おお、うまそうだ。

 

f:id:hidekinghenry:20180306145058j:image

湯気満載だな!いいぞ!

どれどれ。

f:id:hidekinghenry:20180306145115j:image

あつっ!

ぅまひ、はふはふ、うまいな。

トマトが効いてる辛口だが、そんなに辛くないな。酸味が絶妙だ。どんどん食べれるな。

 

飲み物だな、まるで。

 

 …

 

あっという間に平らげちまった。

 

相変わらず夫婦がごちゃごちゃとやっている。犬も食わねーぜ。だが、ここのカレーは食ってやろう。かっかっかっ。

 

次郎は高らかに笑ってやった。

おい、おばちゃん会計だ。

 

1300円です。

 

ほらよ。釣りで口紅でも買いな。

次郎はキッチリ1300円をカウンターに叩きつけた。

 

カランコロン♪

ありがとうございましたー。

 

昼時も終わり、昨日とは一転冷たい風が次郎を吹き付けた。

もう春かと思ったが、まだまだだな。

 

さてと、珈琲でも飲みに行くか。

次郎は自転車で並木橋を代官山方面に走らせた。

 

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20180306144841j:image

カレーショップ チリチリ @渋谷並木橋付近

辛さ、酸味が絶妙なバランス。あと引く辛さ。昼には丁度いい。

3.5次郎

 

 

 

 

カレーショップ 涅槃 東北沢

f:id:hidekinghenry:20180307011430j:image

こんなちんまりとしていたとはな。

次郎は独りごちた。

 

次郎は友人に勧められたカレーショップを目指していた。

東北沢。ちんまりとした駅。まだ建て替えられたばかりで綺麗だった。

 

駅を出ると入り組んだ細い道が四方八方へと伸びている。空からは柔らかな陽ざしが小さな家々を照らしだしていた。

 

件のカレーショップはここから下北沢方面に旧線路沿いを歩き、少し右に逸れたところにあるらしい。

 

近くに下北沢の大きなビルが見える。駅間が近いが静かな街だった。

 

嫋やかな春の陽気を噛み締めながら、家々の間の細い路地をゆっくりと歩く。廃線となった線路の跡地がなんとなく悲しい。

 

なんだか、もう十分満たされた気分だな…

 

うおっと!ここか!!

f:id:hidekinghenry:20180303133907j:image

少し広目の道に出たところにそれはあった。

 

カランコロン♪

狭い店内。小さな券売機で食券を買った。

メニューは1300円のカレーか1500円のカレーセットの二つ。セットにはラッシーと副菜が2種類付いてくる。

ならば迷わずセットだな。

 

お好きな席へどうぞ。

次郎は奥の席へ着席した。

カレーが3種類ありますが、どちらになさいます?チキンニハリが基本になります。

 

チキンニハリ

和風黒キーマ

トマトパニール

 

の3種類あった。 

 

よし、次郎様は応用自在、

黒キーマ、トマトパニールの二つで頼む。

 

はい、かしこまりました。

 

あれのうち2つが、注がれるわけだな。

f:id:hidekinghenry:20180303141441j:image

次郎が厨房に鎮座しているカレー鍋をボンヤリと見ていると、新たな客が入ってきた。

 

いらっしゃいませ。常連客が、久しぶりなどと声を掛けているが、どこかで見た顔…

 

ほう、いぶし銀のメガネタレントだな。この辺はやはり業界系が多いようだな。

 

はい、お待たせしました。

f:id:hidekinghenry:20180303141704j:image

ほう、美しい。副菜も綺麗だ。

 

ご飯はトマトと野菜を入れて炊いてます。

 

なるほど。

では、黒キーマから。

f:id:hidekinghenry:20180303142129j:image

ほう!ピリリとして、キーマのそぼろが野生的だ。そして、後味が少し酸っぱいがそれが絶妙なハーモニーだ。口をさっぱりさせて後を引く。

f:id:hidekinghenry:20180303142326j:image

おう!このトマトは甘いな。しかし、口の中で咀嚼すると、なんとも言えない優しい味が広がる。これは黒キーマと絶妙のバランスを形成している。

いいじゃないか!

 

この副菜、どれもすこし酸っぱいが、さっぱりしてうまい。

 

全体で1500円は少し高いが。

 

お客様、こちらスタンプカードです。

三回来ていただくと、四回目はただになります。

 f:id:hidekinghenry:20180303144055j:image

ほう。

??

なんじゃそりゃ、かなりのサービスだな。つまり値段は3/4か。

 

オープンしたばかりなので。

 

なかなかの心意気。

どうりで店主の顔も黒いわけだ。

妙に納得する次郎。

 

さてと、ご馳走さん。

うまかったぜ。またくるよ。後三回はな。

 

カランコロン♪

次郎は店を出た。

店の前の道は狭いが、車通りが多くスピードも速い。

 

ふん、あぶねーな。

生き急ぐ者は死ぬのも早いんだぜ。

夜、星は輝くんだぜ。

 

相変わらず穏やかな陽光が次郎を包む。

 

冬過ぎて 春来たるらし しろたへの…

か。

 

次郎にそよ風が纏わりつくように吹きつけた。

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20180303143233j:image

カレーショップ 涅槃@東北沢

インドカレーライスの店。かなり塾考されて作られていてうまい。後味が爽やかでヘルシー。女性が喜びそう。店にはなんとなく業界の匂いが。スタンプカードの特典がすごい。

3.55次郎

 

 

 

 

 

 

 

 

らいむらいと 市ヶ谷

 f:id:hidekinghenry:20180227151617j:image

 

結構遠いな。どこだここは?

次郎はチャリンコを漕いでいた。

 

赤坂から永田町、麹町を超えて大妻女子大学の横あたりまできて、坂の多さにうんざりした。

 

2月の終わり、陽射しは柔らかに、風は暖かくなってきていた。坂道を登りきる頃には汗を掻くような気候だった。

 

もうすぐ春到来だな。

芽吹きそうな桜の木を見て、次郎は独りごちた。

 

そろそろ市ヶ谷だな。

 

ここを左か。

次郎は市ヶ谷方面に道を俺目的の店”らいむらいと”に向かっていた。

 

2週間程前、動き出しが遅く、いけなかったチーズハンバーグの店だった。

 

おお、こんなところに…

件の”らいむらいと”は、靖国通りから一本入った小道にひっそりと佇んでいた。

 

まだ、やってるな。よし。

カランコロン♪

 

外観とは裏腹に思いのほか店内は広かった。

何名様ですか?

1人だ。

 

…地下へどうぞ。

なに、地下もあるのか!

 

地下に案内される次郎。一階よりむしろ地下の方が広かった。店内には所狭しと椅子が並べられ、午後一時半も過ぎようというのにほぼ満席に近い。

 

ほう、人気だな。

 

さてと、次郎はメニューを開いたが、目当てのものをすぐに見つけ手をあげた。

 

ハイ。

チーズハンバーグ250グラムで。

ハイ、畏まりました。

 

サラダをどうぞ。

f:id:hidekinghenry:20180227141325j:image

は、はやいな。

どれどれ。

おお、これはあの伝説オニオンガーリックソースに近いな。いいぞ!

ひょっとしてハンバーグも…期待が高まるぜ。

 

カウンターの目の前で料理人が料理をしている。お洒落な作りだった。

f:id:hidekinghenry:20180227141439j:image

ハイ、チーズハンバーグ250グラムです。

おお、はやいな!オペが洗練されていると見た。

f:id:hidekinghenry:20180227141548j:image

f:id:hidekinghenry:20180227141553j:image

おお!

素晴らしいビジュアルだな。

どれどれ、

f:id:hidekinghenry:20180227141644j:image

うお、柔らかい!

しかし、肉肉しい。

そして、このソース。ガーリックがかなり効いている。単なるデミグラスではない。そして、チーズとのハーモニーが絶妙だ。

これは、ライスをこのソースにダイブエンローリングさせるしかあるまい。

おお!

ライスインザソース is amazing!!

次郎は独りごちた。

 

うまいじゃねーか!

f:id:hidekinghenry:20180227141936j:image

パクパク

 

むしゃむしゃ

 

パクパク

 

むしゃむしゃ。

 

ふぅ。

 

ごちそうさんと。

アッサリ食べきってしまった。

飲み物に近い食感だ。

 

なんとなく、客を店員が捌き慣れし過ぎてる感はあるが、この味で帳消しだな。

 

おい、会計だ。

1680円です。

 

ほらよ。釣りはとっときな。

次郎はカウンターに1680円をキッチリ叩きつけ、店を出た。

 

カランコロン♪

 

ふぅ。暑いな。コートはいらねぇな。

次郎はチャリンコの籠にコートを入れて、靖国神社方面に向かった。

 

目にはさやかに見えなども

 

…か。

 

次郎を過ぎ去っていく風は、春そのものだった。

 

続く。

 

f:id:hidekinghenry:20180227142523j:image

らいむらいと@市ヶ谷

ガーリックソースが美味しい洋食屋。チーズハンバーグをまずは食べるべし!スッキリと柔らかく旨い。

3.7次郎

 

 

 

うな鐡 新宿歌舞伎町

f:id:hidekinghenry:20180226110910j:image

ガラガラ♪

 

2人だ。

ハイ、お名前は?

福島三郎だ。

 

えっと、あ、福島様ニ名様ですね。お二階にどうぞ。おつれ様はまだみたいです。

 

別にいい。

次郎は二階に上がった。

 

今夜は次郎の久しぶりに会う友人と飯でも食おうということになっていた。友人が選んだ店はうな鐡。歌舞伎町にある鰻の串を食べさせる店。実は次郎が兼ねてから行きたかった店リストの一つだった。

 

でかしたぞ福島!

次郎は独りごちた。

 

席に着くとメニューを見た。

f:id:hidekinghenry:20180226110929j:imagef:id:hidekinghenry:20180226110938j:image

文字からして旨そうだな。

串はそんなに高くないな。鰻重も2900円なら御の字だ。最後の締めにいこう。

 

そういえば、ここの鰻には川越って焼酎が合うとか言ってた奴がいたな。よし。

 

ねーちゃん、注文頼む。

ハイ。

 

川越の水割り。

それと。そうだな、骨せんべい、肝焼き、かしら、くりから、白ばら三本ずつ。それと椎茸、ナス焼きだ。

 

ハイ。

あ、すいません、肝焼き終わっちゃいました。

 

なんと!くそ。仕方ない、じゃそれはいい。

ハイ。

 

しかし、二階の座敷は割と広いな。

 

はい、川越と、お通し、骨せんべいです。

f:id:hidekinghenry:20180226164913j:imagef:id:hidekinghenry:20180226164929j:image

おぅ、骨せんべい。うまそうだ。

川越もスッキリ飲みやすいな。骨せんべいに合うな。

 

おう、次郎!早いな!

おう三郎。久しぶりだな。

あぁ。さぁ座れよ。

ねーちゃんビール頼む。

ハイ。

 

ハイ、串です。

f:id:hidekinghenry:20180226165145j:image

かしらです。

f:id:hidekinghenry:20180226165210j:image

白ばらとくりからです。

f:id:hidekinghenry:20180226165232j:image

椎茸です。

うまそうだな。

 

どれどれ?

ほう、かしらは甘くて身が柔らかく、ぎっしりだ。うまい!

白ばらもくりからも柔らかくてうまいな!

椎茸も合間にちょうどいい。

コスパだな。この串は。

 

ハイ、焼きナスです。

f:id:hidekinghenry:20180226165401j:image

おぉ、いい感じだ。

 

 

三郎うまいなここは!

だな!

どーだ最近は?

来月から新しい会社なんだよ。

なに!そうか!それはめでたいな。

 

おい、ねーさん、

うまき、八幡巻き、白焼き頼む!

ハイ。

 

次郎はどうだ?

うーん、ぼちぼちやってるよ。

しかし、おまえの行動力はすごいよ。

 

ハイ、うまき、八幡巻き、白焼きです。

f:id:hidekinghenry:20180226165532j:image

おお!うまそうな、うまきだ!

f:id:hidekinghenry:20180226165550j:image

この、八幡巻き、甘ダレがうまそうだ!中のゴボウもいいな。

f:id:hidekinghenry:20180226165622j:image

くっ、この白焼き、サッパリしてそうで、いいバランスだ。

 

どれどれ。

 

おお!このあっさりとした卵の出汁と鰻のコラボ、うまい!

そして、おお!この八幡巻き、ゴボウを蒲焼きで巻いたようなもんだな!贅沢だ!甘ダレとゴボウのコラボ、うまい!

 

そして、白焼きか。山椒をかけてと。

ぐお!サッパリうまい。この三品最高の組み合わせだ。俺としたことが!

 

うまいな!三郎!

だな!

2人のテンションは上がった。

 

さてと、

おい、ねーちゃん、ヒレ串と鰻重を頼む!

ハイ、畏まりました。

 

いやー、全部うまいなここは。しかも高すぎず。穴場だ!

 

だろう。

次郎、人生一度きりだぜ。

 

…ど、どうした三郎。

いや、なんとなくな。

 

ふん。

ハイ、お待たせしました。

f:id:hidekinghenry:20180226170206j:image

ヒレです。

f:id:hidekinghenry:20180226170231j:image

鰻重です。

 

おお!うまそうだ!!

 

このヒレ、ネギが巻かれて鰻と絶妙なバランスだ!うまい!

 

そして、鰻重だ。

おお、柔らかい!甘い!っまい!!

このタレご飯最高だぜ。

おお、この肝吸い、肝がでかいな。

いやでも精力旺盛になっちまうぜ!

歌舞伎町だけにな!はは!

 

ゲフッ

 

いやー、うまかったな。

三郎、いい店をありがとう。

いいってことよ。

 

おい、ねーさん、会計頼む。

はい、17000円です。

2人で8500円ずつか。まぁそんなもんだろうな。

しかし、うまかったな。

 

これはまた誰かを誘ってきてもいいな。

ご馳走さん。

 

ガラガラ♪

 

ふぅ、次郎、いい夜だったな。

だな。

 

またな。頑張れよ三郎。

お前もな。

 

二人は別れた。

次郎は歌舞伎町の中を新宿三丁目にむかって歩いた。

 

人生一度きりだぜ。

 

三郎の言葉を反芻する次郎。何故かその瞬間歌舞伎町の喧騒が遠のいた。

 

ふん、わかってるよ三郎。

 

次郎は一瞬立ち止まり、再び歩き始めた。

お兄さん、40分一本勝負、どう?

 

なにが40分で一本勝負だ。何分でも一本勝負だろうが、ど阿呆が。

 

しかし、

一本勝負…人生も一本勝負だな。

次郎は独りごちた。

 

次郎は歌舞伎町の狭い空を見上げた。

街の明るさで星は見えない。

 

目を凝らしたが、次郎の未来と同じように、まだ星は見えてこないのだった。

 

続く。

f:id:hidekinghenry:20180226165145j:imagef:id:hidekinghenry:20180226170231j:imagef:id:hidekinghenry:20180226171101j:image

うな鐡@新宿歌舞伎町

鰻串の店。鰻屋は鰻重以外になかなか食べ物がない店が多い中、鰻の串を食べさせる貴重な店。リーズナブルな値段で注文しやすい。頼んだ鰻は全部うまい。串にも一工夫あり。接待も使用可能。

再訪必至。

3.8次郎