函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

37 Steakhouse and Bar 六本木

次郎は昼前に六本木ヒルズにある、広告代理店に赴ていた。

 

来月からの展覧会に出展される作品を解説することが目的だった。

 

ふー、こんなハイカラなところ中々来ないからな。しかし、なんだ、緑が多くていいな。

 

折しも終わった時刻は12時40分。昼時だった。

 

さてと、昼でも食うか。しかしなぁ。ヒルズは単に高そうだ。イケてるモテリーメンもつらいもんだ。

 

次郎は欅坂をグランドハイアットあたりまで歩き、ふとしたところで牛のマークが目に入った。

 

ん?なんだありゃ。飯屋か??

うーむ、二階か…わからんが、とりあえず登ってみよう。

 

中は広いな。どんな料理が…

 

いらっしゃいませ。

気がつくと次郎の後ろには二組のモテリーメンが待っていた。押し出されるように店に入る次郎。

 

それではこちらでどうぞ。

窓から外の見えるいい席に座ってしまっていた。

 

お、おう。

仕方ない、今日はここにしよう。しかし、なんだここは。ステーキ屋なのか、なんなのか。

 

恐る恐るメニューを開く次郎。

ほう、うまそうな肉メニューがギッシリだな。意外と当たりかもしれん。

次郎は独りごちた。

 

む、ハンバーグ…肉ギッシリ系だな。うまそうだ。よし、これだ。

 

おい、マダム、このハンバーグを頼むよ。

 

ハイ、カシコマリマシタ。

店員は片言の日本語で消えていった。

 

他の客を見ると、皆外資系のモテリーメンのよような出で立ちだった。

しかし、なぜ外資系モテリーメンたちは常にチーフを入れているのか…謎は深まった。

 

はい、お待たせしました。

突如沈黙は破られた。

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ぐぉ、うまそーだ。このハンバーグは肉肉しいな。ソースもうまそうだ。

ほう、うまい。荒々しさがこのソースも良く合っている。赤ワインが欲しいところだ。

 

そして、このマッシュポテト。

うーむ、贅沢な味だ。

甘くて柔らかい。

 

うまいなここ。

正解だな。

 

むしゃむしゃっ

 

パクパクッ

 

むしゃむしゃっ

 

パクパクッ

 

んーうまい。

 

あっという間に平らげてしまった。

 

ビールも飲んじまうかな。

おい、ねーさん、ランチビールを一つ頼む。

 

はいどうぞ。

くー、うめー。

あっという間に酔っ払う次郎。

 

ふー、よし会計だ。

2330円になります。

 

よし、カードで頼む。

釣りはいらねーよ!

次郎ほカードをカウンターに叩きつけた。

 

いえ、カードですので。

 

はは、こんなこと知ってるぁ、舐めんなよ!

ち、酔いが回ったか…

ふん、そういぶかしがるなマダム。

また来るぜ!

 

店を出た次郎。

階段を降りると、グランドハイアットが見えた。

 

ふん、昔はよくあそこで…感慨深いホテルだ。しかし、今のおれには関係ない。行くぜっ。

 

歩きだす次郎。

午後の陽光が優しく次郎の背中を照らし出していた。

 

 

続く。

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37 Steakhouse and Bar @六本木

熟成肉の名店。ハンバーグとステーキがシグネーチャーメニュー。しかし、迷わずハンバーグ。がつっとした挽肉が力強く、素晴らしいソースも相まってモテリーメンのお昼を飾る。

3.6次郎

 

 

ラーメンダイニングJingu

うーん。サッパリしたな。

次郎は髪を切った。行きつけの美容室は渋谷にあった。

 

ふー、サッパリしたし、なんだか腹が減ったな。

時刻は19時30分。自転車で明治通りを滑走する次郎。壁面広告が代わる代わる次郎を通り過ぎる。なんだかチカチカするな。

通りにはお洒落な若者が闊歩している。

 

夜だと言うのに元気なこって。

次郎は独りごちた。

 

さてと、原宿あたりまで来たが、なんかねーかな。

おうそうだまた裏原あたりを探索してみるか。

次郎は自転車のハンドルを右に向け小道に逸れていった。

 

さてと、やはり服屋ばかりだな。それと、パンケーキ屋か。

今日は行列の店の閑古鳥が鳴いている。平日の夜、風も冷たく人は少な目だ。つまりそれは次郎には好都合なのだが。

 

うー、あまり惹かれる店がないなぁ。

 

お、なんだありゃ。よくみると牛骨ラーメンとあった。

なんだ"〇〇で取り上げられました"的な説明ばかりじゃねーか。

こういうのは大体見掛け倒しなんだよなー。しかし、牛骨ってのは惹かれるな。

まぁ、まずかったら残すだけのこと。

 

よし、入ろう。

カランコロン♪

 

いらっしゃーい。

店内は小洒落た雰囲気だが人はそこそこだ。お洒落なラーメン屋はあまりうまくはないんだよなぁ。次郎の嗅覚はそう告げていた。

 

まずは食券機か。うーん。全部乗せラーメンだな。一番人気の。店の実力を測るにはこれが無難だろう。

 

はいよ、全部乗せ一丁。

やる気のなさそうなねーちゃんが応じた。

ふん、まぁいい、お手並み拝見だ。

 

次郎は目を閉じた。

 

はい、お待ちどう様です。

意外と速いな。ユリオカには及ばないがな。

ほくそ笑む次郎。

お、見た目は豪華だ。

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さて、スープはと。

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ズズズッ。

ほう。濃厚だな。家系ラーメンにちかいか。及第点だな。

次は麺か。

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ズルズルッ

ふむ、まぁまぁだな。悪くない。細さも硬さも。

さて、これが売りのローストビーフだな。

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ほう。なかなかいけるな。上品だ。

しかし、普通のチャーシューの方が俺は好きそうだ。

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やはりな。こちらの方がうまい。

メンマは太くうまい。味玉もフワトロだ。

スープといい、麺といい、トッピングといい、申し分ないな。どれもよく考えられている。

 

しかし、なんかこう、パンチがないなぁ。いろんなものを研究して作られているのだが、全体として統合した時に、統合されていないというか、バラバラに存在している、そんな感じだな。

もったいないな…

次郎独りごちた。

 

しかし、完食する次郎。

牛骨は濃厚でうまいな。

なんとも表現できん。うまいんだけどな。

 

ふー。ごちそうさんと。

じゃまたな。

 

カランコロン♪

店を出る次郎。

うーむ。なんかこう、ねぎしにでもいって牛タンが食べたいな。

 

まさかのはしごか…いかんいかん。

次郎は首を横に振った。

 

次郎は自転車に乗ると、原宿の町を青山に向かって疾走した。

まるでこれから今夜の夕飯を食べるかのように軽やかだった。

 

続く。

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ラーメンダイニングJingu@原宿

有名なラーメン批評家がプロデュースした牛骨ラーメン。どれも全てが考えつくされている。味もうまい。ただ全体としての統合感がない。おしい!

3.4次郎

 

 

 

覆面智11 渡り蟹つけ麺 味噌

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お、おやじ!

渡り蟹かよ!聞いてねーよ!

 

 

朝起きて、何気なくオヤジのツイートを確認した次郎。

いつも通りのラーメンだと思っていたが、今日は台風一過を記念しての渡り蟹出し汁らしい。

これは、渡りに舟だ。

次郎は独りごちた。

 

 

早速部屋を出て、神保町に向かった。

台風一過とは言うものの、時は10月後半。風はひんやりとしていた。

 

ちょうどいいな。ラーメンを食べても余り汗をかかずに済むな。

 

ガラガラ♪

 

いらっしゃーい。

 

まだ渡り蟹は売り切れていなかった。

じゃ、渡り蟹つけめん。あつもりで!

トッピングは、青唐辛子、もやし、味玉で。

 

はいよ〜♪

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出し汁の傍に渡り蟹の出し汁鍋が…

 

これは心を掻き立てる。

 

ちゃっちゃっちゃっ

 

ちゃっちゃっちゃっ

 

くー、まだか、出るか?、もうくるか?

 

はいよ。あつもりね。

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あつもりってのはこういうことなのか。

なるほどな。

はい、スープね。

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来た、これだよ。おやじ。いい色だ。

 

ではいただくか。

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まずは、味噌スープを一口。

おぉ、味噌の味つけが絶妙だ。ほんのり蟹の匂いも漂う。蟹と味噌が見事なコラボ。そこにチャーシューと鶏肉のダイスが引き立て味を乱暴にかき混ぜる。

ぐぁ、うまい。

この縮れ麺のスープとの絡まり具合が毎度毎度うまい。

そして、モヤシとともにスープに浸して食べる。

ぐぁぁ、うまい。

ダメだこりゃ。もう解説できん。

 

ズルズルッ

 

ズズズズッ

 

ズルズルッ

 

くー、海苔がうまい。味玉が弾ける。

 

ズルズルッ

 

ズズズッ

 

ズズズズズズーッ。

プハーっ。

 

うまかったー。完食だ。

 

ゲフッ。

 

ふー、今日も快調だ。

 

おやじ、うまかったよ今日も。新しい味。

常に新しいものを探求する姿勢、見事だ。

 

ごちそうさん

ガラガラ♪

 

またきてね〜♪

 

また必ずくるよ。

次郎は独りごちた。

 

さてと、これはプールにでも行かないとな。

 

 

秋晴れの空。台風一過の禍々しい雲が千切れて空を舞う。

 

また一つ新しい季節が巡ってきたようだった。

 

 

続く。

覆面智@神保町

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渡り蟹出し汁の味噌つけ麺。

読んで字のごとく。味は最高。

醤油もよいがたまにはオヤジの味噌も良い。安定のうまさ。たまらん。

3.7次郎

 

 

 

 

かみむら タワー天丼

雨が降っていた。

風が強く、雲はどんよりとしたグレーに染まっていた。

 

次郎は押上駅を降りた。

ここで、人と会う約束をしていた。

 

時刻は13時。

駅を出るとすぐに巨大なスカイツリーが次郎の前に現れた。

しかし、雲がタワーの途中から天辺を消していた。

まるで近未来の世界だ。

次郎は独りごちた。

 

ふん、約束にはまだ少し時間があるな。昼だしな、よし何か食うか…

下町だしなぁ、ツリーの喧噪はうっとおしいし、何かないか…広い靖国通りを暫く浅草方面に歩くと、風情のある暖簾が見えた。

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蕎麦屋か…ん、これは天ぷらか……!?

なんだこのタワーは!

 

天丼のレプリカに目が止まった。

スカイツリーではない。しかしエビが上に向かって突き刺さっている。

 

よし。ここだな。今日は。玉には冒険だ。

 

 

ガラガラ♪

はい、いらっしゃーい!

元気なおばちゃんの声が響いた。

 

一人だ。

そこの席にどうぞ。

 

昼を過ぎ雨が降っているからか、意外と空いていた。

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メニューを見た。

これか…

 

よし、おばちゃん、タワー丼で。それともつ煮込みも頼む。

 

はいよ。

 

次郎は目を閉じた。

 

はい、タワー天丼お待たせー。

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ぬぉ!

た、タワーだ。憧れのタワマンだ!

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指でその長さを表現しようとしたが、遠近法で逆に小さく見えてしまう。

ええぃ、まぁいい。とにかく味見だ。

 

はい、もつ煮込みね。

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 おぉ、これは美味そうだな。

 

いや、兎に角タワマンだ!

 

タワマン三棟を天丼の蓋に倒し、つゆをたっぷりかけた。タワマンはアッサリ倒壊した。

 

ふん、耐震性は低いようだ。

次郎沖地震の破壊力を見せつけてやろう。

次郎は独りごちた。

 

むしゃむしゃ。

バリバリ。

 

瞬く間に海老タワーはぐしゃぐしゃになった。

味は…予想通りか。

まぁ悪くない。

 

もつはどうだ?

これも悪くはないな。

 

 

むしゃむしゃ

 

 

さすがに三棟目の海老タワーの味には飽きて来た次郎。大根おろしと七味で味変し、平らげた。

 

ゲフッ

ふー、食ったな。

 

さてと、お勘定頼む。

はい、2400円です。

 

まぁタワーが1800円だからな。しかたねぇ。

ここに置いとくぜ。釣りはとっときな!

 

キッチリ2400円をテーブルに叩きつけた。 

 

ありがとうございましたー!

 

ガラガラ♪

空を見上げる次郎。

 

うっとおしい雨はまだ降り止まず、タワーも未だ途中から消えたまま。

 

…俺もこのまま世界から消えちまはないようにしないとな。

ブルッ

 

相変わらず強い風がねっとりと次郎にまとわりついた。

 

遠くに次郎を見る人影が見える。

手に持つ傘はやけに紅く輝いて見えた。

 

まるでモノクロ映画の中で、そこだけ色を消し忘れたかのような綺麗な紅だった。

 

次郎はゆっくりと手を挙げた。

 

続く。

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かみむら@押上

タワー天丼で有名?な蕎麦屋

味はまあまあ。フォトジェニックな天丼は話の種になるかな。

3.3次郎

 

 

赤坂一点張 炒飯

牡蠣は美味かったんだがなぁ。

次郎は独りごちた。

 

オイスターバーに行くとやはり牡蠣ばかり食べてしまい、他のものをあまりたべられない。

食べたくて行ったのに結果飽きている。大概の店は他のメニューが牡蠣料理ほど充実していない。そんなジレンマである。

 

赤坂のオイスターバーを出た次郎。

すぐそばに木造のファサードのある店がある。

扉に一点張と書いてあった。

 

ん?なんだこれは。しかも出口専用か。

気になって回り込んで見るとラーメン屋だった。しかも満席。時刻は21時30分。

 

サラリーメンが締めの一杯に集まる場所か…大概大したことないんだよな。こういう店は。

 

しかし、牡蠣料理ばかり食べていた胃は他のものを、とりわけガツンとしたものを欲していた。

 

えい、ままよ。

ガラガラ♪

次郎は重い扉を開け放った。

 

いらっしゃい。

狭いがカウンターしか空いていない。

まぁいい。

次郎は所狭しと隣のデブリーメンを押しのけて座った。

 

ラーメン屋に入ったものの、ラーメンよりも炒飯に惹かれてしまう次郎。

 

うーむ、どうするか…

 

ふと隣のデブリーメンを見ると大盛りの炒飯を幸せそうにかきこんでいる。

 

く、こりゃ炒飯だな。

 

おい、おやじ。

炒飯中盛り。それと、餃子。さらに、チャーシューだ!

 

はいよ!

 

水を入れ、次郎は目をつぶった。

 

はいお待ち。チャーシューね。

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ぐ、辛くてうまそうだな。

ぐしゃっ。

ほう。ちょうどいい硬さだ。下のモヤシと豆板醤が心地よい。うまいなこれは。

 

はい、炒飯とスープね。

うまそうだ。

む、これは、こうしたらもっとうまくなるのでは…

次郎はチャーシューを炒飯に乗せた。

おお、うまそうだ。

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どれどれ。

ぐおっ、うまい。炒飯にはもともとチャーシューが入っているが、更にオンするとよりニクニクしさが溢れる。

うまいぞ!

そして、更に追い豆板醤だ。

 

ぐぁ、うめー!うめーよオヤジ!

はい、餃子ね。

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お、忘れてた。デカイな!

なんじゃこりゃ。

 

ハフハフッ

 

うまいなこれも。

炒飯のスープあっさり魚出汁でいい口直しだ。

 

当たりだな。これは一軒目でもいいぞ。

 

むしゃむしゃッ

 

ズズズッ

 

むしゃむしゃッ

 

ズズズ

 

 

ゲフッ

 

 

ぐあ、口が餃子臭!

まぁ、それもいいか。

次郎は独りごちた。

 

よし、オヤジ会計だ。

2400ね。

 

ビールも飲んじまったし仕方ねーな。

ほらよ。釣りはとっときな。

次郎はキッチリ2400円をオヤジに渡し店を後にした。

 

ガラガラ♪

 

うぉう、あぶねーな!

 

店にはどんどん締めリーメン達が押し寄せる。入って来る客を押し分け赤坂駅に向かう次郎。

 

一陣の冷たい風が次郎の横をすり抜けていった。

 

さぶっ

 

秋はすぐそこまで来ていた。

 

 

続く

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赤坂一点張@赤坂

味噌ラーメンの店らしいが炒飯が絶品。おつまみチャーシューとともにどうぞ。ジャンキーにうまい!!サラリーメンの味方。

3.7次郎

 

 

 

 

Shanti 原宿店

 

いやー、よく泳いだ。

仕事後、時は夜9時。次郎はジムのプールで泳いでいた。

 

9時か…さてと、原宿あたりまで行ってみるか。

次郎は独りごちた。

 

自転車で明治通りのいくつかの坂を登り下りすると裏原宿に至る。

そこから怪しい店がたくさん出てくる。

次郎は古めかしい居酒屋に目を引かれて自転車を止めた。

しかし、よく見るとスープカレーの文字。

何っ!原宿にスープカレー。Shanti とある。

これは、渋谷にあるやつか、味は普通だったな。しかし、ここは何かを感じる…えい、ままよ!

次郎は店に突入した。

 

カランコロン♪

 

客はあまりいない。

ミスったか…

 

4人席に通される次郎。

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サイドも行くか。

次郎は独りごちた。

 

おい兄ちゃん、注文だ。

はい。

 

スープカレー曼荼羅スペシャル。トッピングは納豆だ。それとキノコとベーコンだ。

 

はいかしこまりました。

 

曼荼羅スペシャルは野菜多種とチキン。

キノコとベーコンはその名の通りを炒めたもの。

 

次郎は目を閉じた。

 

はい、キノコとベーコンです。

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ほう。見た目は普通だが…おぉ、味が濃くてうまい!予想外だ!俺の嗅覚は間違ってなかったか!

 

はい、曼荼羅スペシャルです。

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おお、これはボリューム満点だ。納豆は入れてきてほしかったがなぁ…まぁいい。

次郎は納豆をかき混ぜスープカレーに投入した。

 

さてと。

まずはスープか。

うーん、濃厚だな。うまい。

チキンはと…

むっ、ほろほろだな。うまいぞ。

人参もパプリカもシャキッとしてていい。

納豆も合格だ。

うん、これはうまい。断然原宿店だな。

掘り出しもんだ。

 

ズズズッ

 

グシャッ

 

ズズズ

 

ザクッ

 

ズズズ、ズズズ、ズズズズズズー。

 

ぷはー。うめー。良い辛さだ。スパイスが効いている。

 

ズズズズズズー。

 

ゲフッ

 

ごちそうさんと。

 

ふー、2000円か。まぁそんなもんか。

おい、兄ちゃん、会計だ。

 

2020円です。

 

ほらよ。釣りはいらねーぜ!

キッチリ2020円を置く次郎。

 

もう22時半か…

汗もかいたことだし、風呂にでも入るか。

次郎は自転車に乗り、表参道方面の坂を登っていった。額から汗が噴き出してくる。

 

秋はまだまだ遠い夜だった。

 

続く。

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Shanti@原宿

渋谷店より断然うまい。ここならまた来たい。濃厚でピリッとくるスープに野菜とチキンがうまくマッチしており、箸が進む。

 

3.6次郎

 

かつ壱 目黒

…というわけで、常に危険を予測した運転をこ心がけ…$#•£€&¥@!<%#...

 

ふー、なんでこんなつまらねー講義を受けなくちゃならねーんだっ、あぁ?教えてくれよ!お天道様よぉ。

 

次郎は自動車教習所で指定のつまらない講習を受けていた。

朝から4時間、午後は3時間。なんだこのカリキュラムは。長すぎるだろっ!あぁ?教えてくれよ!お天道様よぉ。

俺様の時間をなんだと思ってやがる…

 

絶望の4時間が過ぎ、時刻は11時45分。

 

ふー、やっと前半戦が終わったな。

午後まで2時間。長い休憩だ。

しかし、目黒ならば…この機会を最大限利用させてもらうぜ。

次郎は、うだつのあがらない白髪の教官に一瞥をくれて教習所のビルを出た。

 

恵比寿駅から目黒駅方面に道を登っていくと、目黒駅周辺に食堂街が見えてくる。12時にはどっと疲れきったサラリーメンズたち、通称"オワリーメン"が街を蹂躙する。

次郎はその少し前の11時50分、講義の合間に調べておいたあるとんかつ屋に向かっていた。

10月も半ばだというのに陽射しはまだ夏の気配を漂わせている。

 

くそっ、意外に歩くな。暑いぜ。

しかし、こうやって苦難を乗り越えてこそ、うまいとんかつにありつけるってもんだ。

 

目黒駅直前の交差点のビルの地下一階にその店はあった。

 

 

しかし、すでに列が出来ている。

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く、12時前だというのに。

まぁいい、期待も膨らむってもんだ。

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ランチメニューは3つ。

ヒレ、ロース、カツカレー。

 

お客様、何名様?メニューは?

独りだ。ロース。

即決だった。

とんかつ屋の実力はロースに現れる。

 

カウンターは所狭し。満席だった。奥のテーブルに相席させられた。

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カウンターにキャベツが多数鎮座している。夜は一品料理もあるらしい。

この雰囲気、名店の匂いがするぞ!ははっ!

次郎は独りごちた。

 

はい、おまちどぅ♪

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ぬおぉ!でかい!1100円でこのでかさか!

どれどれ、

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中もいい感じのピンクだ。

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ぶ、分厚い!!

これはきたぞ!次郎とんかつ五選にランクインか!?

 

どぼどぼっ

次郎はたっぷりととんかつソースをかけて、更にたっぷりと洋がらしを塗りたくり、一気に頬張った。

ぐしゃっ!

 

ぐぉ!

サクサクだっ!しかし肉はしっとり柔らかく、そして歯切れもいい!

うまい!

おやじ!

うまいぞ!!

 

次郎のテンションは上がった。

続く二切れ目は醤油を垂らしおもむろにに頬張った。

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ぐぉ!

醤油のさっぱりとした味がロースの脂と溶けあって絶妙なハーモニーを奏でる。

 

うごぐぁ…

こりゃたまらん。

次郎は迷わずライスを掻き込んだ。

 …

はぁはぁ、

これは戦いだ。しかし幸せな戦いだ。

 

どぼどぼっ

 

むしゃむしゃっ

 

ササッ

 

むしゃむしゃっ

 

サクっ!

むしゃむしゃっ

 

ズルズルっ。

 

ゲフッ。

 

ふー。

白飯も味噌汁も一気に駆け抜けた次郎。

1984年のロス五輪でカールルイスが100メートルトラックを当時の彼の自己ベストで駆け抜けたように、まるで体の全身がかもしかになったような気分にさせられる見事な全力疾走だった。

 

 

だ、だめだこりゃ。

午後は寝るな。

とりあえず瞼に目玉でも書いとくか。

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なんてなっ!はは!

 

ますますテンションが上がる次郎。

午後はつまらない講義という格好の睡眠導入剤を投与された上、うだつのあがらない白髪の教官の眠狂四郎の魔剣をお見舞いされるわけだ。

 

ふんっ、望むところよ!

 

そう言いながら、すでにあくびをする次郎。

 

おい、おやじ、釣りはいらねーよ!

テーブルにきっちり1100円を叩きつけ、暖簾をくぐる次郎。

地下から地上に出ると、照りつける太陽がますます次郎の睡魔を呼び覚ます。

 

眠狂四郎が一心に剣の刃を磨いていることも知らずに、次郎はふらふらと元のビルに吸い込まれていくのだった。

 

続く。

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かつ壱@目黒

食べログ100選に選ばれたとんかつ屋らしい。

衣さくさく、中はしっとり、脂ぎっしり、ボリューム最強。これで1100円という超高コスパ

オワリーメンたちのオアシス。目黒に来たら一度はおいで。

3.7次郎