函館次郎の独りごち飯。

東京近郊のうまくて並んでない店を探す男のドラマ

カラシビ鬼金棒

ふぅ、歩き疲れたな。

 

次郎は仕事で都内を歩きまわっていた。普段から歩き慣れていない次郎には。炎天下の最中に歩き回るのはだいぶきつかった。

 

こうも歩くと腹が減るな。体力を取り戻さねばならん。

 

場所は神田。神田といえば、たくさんあるが、つけ麺で有名か…

暑いしな。ラーメンよりつけ麺だ。

 

 

次郎は駅周辺を彷徨った。

三ツ矢製麺所、麺や武蔵系の神山、やすべえ、チェーン店ばかりか。ないのか他に…

 

あ、暑い。もうどこでもいいか。

そう思ったやさき、真っ黒な店構えが目に入った。

 

おお、あれはラーメン屋か??

 

近くと。同じ店舗が二店舗連なっていた。一方がラーメンで、もう一方はつけ麺屋だっ。ラーメン屋のほうが混んでいたが、迷わずつけ麺屋に入った。

 

いらっしゃい♪

 

席は満席だった。

肉増し、もやし増しを押しつけ麺の食券を買った。

 

麺の量は?

 

中盛りで。

400グラムか、かなりあるな。まぁいい。たくさん歩いたしな。

次郎は独りごちた。

 

席が空き、カウンターに座ると水を飲み干した。

ふー。やっと落ち着いた。

 

 

はいよ、つけ麺、もやし、肉増しおまち。

 

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で、でかい。もやしが…

スープは濃くてうまそうだな。どれどれ。

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おお、熱くて濃厚だ。このバラ肉がうまいな。麺を引き立てる。

 

ズルズル。うん、腰もある。いいぞ。

辛さは普通ならそれほどでもないな。

 

ズルズルッ

 

肉とスープともやしのコラボがたまらん。部屋とワイシャツと次郎だ。

次郎はコッソリ独りごちた。

 

ふん、まぁいい。

ズルズルッ

 

麺がなくならん。

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ズルズルッ

 

 

ふー。きつい。

少し残すのが大人ってもんよ。

 

次郎は麺を少しだけ残しフィニッシュ。

 

ふー、今日はこのくらいにしといてやろう。覚えとけ!

 

次郎は敗北の眼差しを向けながら店を出た。

 

ゲフッ

 

つけ麺の量には気をつけないとな。

梅雨も来ていないというのに真夏のような日差しを浴びて、次郎は神田の駅を足早に後にした。

 

続く。

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カラシビ鬼金棒@神田

なかなか有名なつけ麺屋。ラーメン屋も隣にある。麺のコシもあり、スープは濃厚。肉増しは必須と思われる。平日の昼は列ができるらしい。なかなかうまい。

3.3次郎

麺飯食堂なかじま

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さてと、ここは酢豚らしいな。

 

次郎は勢いでデラックス定食のボタンを押した。勿論酢豚を食べるためだ。

 

ここは気にはなっていたものの、一人客が少なそうで躊躇していたのだった。

 

しかし、渋谷のこの通り沿いの飯屋も行き尽くした感がある。もうここしか残ってない。エイヤっで扉を開けた。

 

キュイ♪ (引戸だった)

 

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奥のカウンターを案内された。

 

厨房からは中華鍋とガス台の金具が勢い良く当たるカンカンという音が響いてくる。

 

…うまそうだ。

次郎は独りごちた。

 

はい、酢豚です。

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ほう、なんだかフレンチのような盛り付けだな。

さてと、ほぉ。うまいじゃねぇか。さすが酢豚の店だ。バラ肉がでかい。味も濃い味でいいな。飯が進んじまう。この腹には毒だな。クククッ。

そう言いながら次郎は白米を口に運んだ。

 

はい、濃厚塩ラーメン。

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どれどれ、オヤジのラーメンではないがと…

ほう、濃い味なのかポタージュスープだなこれは。意外な味だ。しかし、麺がうまいな。これは白飯はお預けだな。

 

ズルズルッ。

次郎はラーメンをすすった。

 

そして、最後は。

 

餃子お待たせしました。

 

やっちまった。

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しかし、ラーメンを食べたら餃子にいかない理由がない。文句あるかこの野郎。

 

くー。うまい。またしても。やってしまった。

 

兄ちゃんお勘定頼む。

 

はい、1530円です。

 

釣りはいらねー。

これで1530円か。コスパ良し、再訪必死か。

次郎はごちた。

 

カウンターにはきっちり1530円を置いて来た。

 

春の風が背中を通り抜け、気持ちいい渋谷の夜だった。

 

 続く。

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麺飯食堂なかじま@渋谷

コスパ。お一人様楽勝。どんどん箸が進む中華食堂。サラリーマンの味方。やはり酢豚か。

3.4次郎

 

 

 

 

 

 

大黒屋 天丼

う、うぅ、蒸し暑い。

 

東京は雨の直前によくあるように蒸していた。

次郎は浅草駅構内を歩いていた。

地下は湿気がこもり、週末の人出でごった返し、構内はうっとおしいほどに蒸していた。

 

うぅ、出口はどこだ…

 

ドンッ

 

うぉ、

後ろから外国人の団体客が押し合いへし合いで通り過ぎる。

 

くそっ、なんだってこんなに混んでやがるんだ!浅草は。

 

次郎は久しぶりに休日の仕事が入っていた。

くそ、あのクソジジイ。偉そうに資料を持って来いだと。何様だっ!

 

次郎は、ある大学教授に資料を届けることになっていた。

 

ちっ、しかし、もう1時か。いい時間だ。約束の時間まで1時間もあるしな。昼でも食うか。

 

さてと、浅草といえば…

うなぎ、天ぷら、麦とろ、蕎麦…なんでもござれだ。

 

しかし、駅構内と同じく街も混んでいた。

 

ちっ、雷門から離れよう。そういえば、濃い味の天丼の店があったはずだ。

次郎は浅草寺の裏道を抜けた。

 

おぉ、あった!

大黒屋。浅草の天丼で有名な店だった。

 

くっ、ひどい列だ。

優に20人は並んでいた。

 

なんだこりゃ!週末は鬼門だな。

ん?

ふと、見ると大黒屋本店の裏に別館があり、列はなかった。

 

おぉ!なんだ、別館があるじゃねーか!ははっ!あいつらはど素人だな。かっかっかっ。

次郎は喜び勇んで別館の戸を開けた。

 

ガラガラ♪

 

はい。何名様ですか?

 

一人だ。

 

どうぞ。

 

おぉ。ついてるな。

次郎は席に通された。

さてと、、、

 

えい。よくわからんが、天丼セット頼む!

 

はいよ。

 

横を見るとペルシャ系の外国人が悪戦苦闘していた。

 

ふん、日本食をなめるなよ。

次郎は独りごち、目を閉じた。

 

 

 

はい、お待ちどうさま。

突如沈黙は破られた。

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おお、うまそうだな。タレがたっぷりで衣がしんなりしてるな。

 

ガブッ

 

おお、べっとりしてるかと思ったが、そんなことないな!

揚げたてなためべっとりタレがかけてあっても中身はしなびておらず、絶妙だった。

ほぅ。これはいけるな。

キス、海老、かき揚げ、野菜とボリュームもすごかった。

 

満足だ。まぁいい値段だしな。

 

おばちゃん、会計だ!

 

出口になります。

 

ちっ。わかったよ。

次郎は席を立った。

隣ではまだペルシャ系が天丼に悪戦苦闘していた。

 

ふん、日本の悠久に慣れることだな。

次郎は独りごちた。

 

ガラガラ♪

 

うっとおしい雲は薄くなり、雲間から力強い初夏の陽が射していた。

 

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大黒屋@浅草

濃い味のタレがたっぷりかけてある天丼。一品と澄まし汁がついて2100円。値段は浅草価格だがうまい。

3.4次郎

 

 

 

覆面智⑧ 白えびと鯛出汁の塩ラーメン

あ、暑いな…

まだ四月だというのに。

 

次郎は住民票を取るため区役所向かったが、支所が三田線沿いにあることが判明し、三田ならばと神保町に途中下車した。

 

むしろ、遠回りだな。まぁいいか。今日はオヤジの妹のバースデー。いつもと違うラーメンが味わえるなら行かない手はないな。

次郎はひとりごちた。

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くくくっ、白えびに鯛か。うまそうだ。

 

店の前につくと、既に人が並んでいた。

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おぉ!さすが常連は耳が速いな。

 

次郎は大人しく列に並び、目を閉じた。

 

お客さん、どうぞ。

突如沈黙は破られた。

 

おぉ、弟子の兄ちゃんか。千円だな。ほらよ。持ってけドロボー!

 

次郎は店内に入りカウンターに座した。よし、オヤジ、大盛りで頼む!

 

ハイよっ。

 

小気味のいい会話に麺の湯切り音が続く♪

次郎は再び目を閉じた。

 

チャッチャッ

 

チャッチャッ

 

チャッチャッチャッチャッ

 

 

はいよ。お待ち。

再び沈黙は破られた。

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そういえば、トッピングを言い忘れていたがいつも通り、味玉に海苔、青唐辛子が入っていた。

 

さ、さすがだオヤジ!

しかし、この豚しゃぶがまたうまそうだぜ。

 

まずはスープからだな。

いつも通りスッキリとした透明なスープだった。

む、えびだけでなく鯛の味までしっかりついてるな。えびで鯛を釣るってかっ!!

ハハッ、やるなオヤジ!

 

そして、豚しゃぶだ。

くー、うまいな。豚しゃぶも単なる肉ではなく、ちゃんと出汁の効いた味が予めついている。これはうまいはずだ。

 

ズルズルッ

 

 

ズズー

 

ズルズルッ

 

ズズズー

 

ズルズルズルッ

 

ズズー

 

ズズズズズー

 

 

ふぅ。ごちそうさんと。

い、いかん、またスープを飲み干しちまった。

 

 

毎度♪

器を下げるオヤジの嬉しそうな顔を見て諦めがついた。

 

オヤジ、今日もうまかったぜ。妹さんと良い誕生日をな!

そう言い捨てて、次郎は店を出た。

 

ふぅ、俺もそろそろバースデーなんだけどな…

ボソリと呟く次郎。

 

その言葉はすぐに都会の喧騒にかき消された。

 

続く。

 

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覆面智@神保町

いうもながら味の変わるラーメン屋。今回は白えびに鯛と贅沢な出汁。いつも通りのハイクオリティ。完敗です。

 

3.8次郎

 

 

 

萬里とキムラ亭 野毛

ピチャ、ピチャ

ピチャ、ピチャ

 

靴が地面に触れるたびに水溜りが音を立てる。次郎は、前のオヤジに気づかれないように、冷たい雨が降り注ぐ野毛の街を歩いていた。オヤジが振り向く一瞬前に横道に入り、姿を消した。オヤジは首を傾げながら再び歩き出した。オヤジは道を俺ささ川に向かって行く。そこで再び振り向いた。次郎は電柱に身を隠し携帯をいじるふりをした。オヤジはまた首を傾げながら歩きだす。

そうこうしているうちにオヤジはささ川に差し掛かかった。それを見て次郎は速度をあげた。そして、オヤジがささ川に架かる橋をちょうど渡りきるころ、後ろを行く次郎はちょうど川の手前にある探し求めていた洋食屋にたどり着いた。

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ふぅ、ここか。偽装尾行も悪くないな。特に意味はないけどな。

次郎は独りごちた。

 

次郎久しぶりに横浜の街に来ていた。野毛は桜木町の駅にある飲み屋街であり風俗街でもあり、近くにはドヤ街もある雑多な街だった。

 

通常桜木町を降りるとこの野毛側には観光客は訪れることなくコスモワールドの観覧車をアイコンとする海側に向かう。駅の裏にこんなディープな街があることは知りようもない。

 

次郎は、昔のアルバイトの関係で横浜に行くときは決まって野毛側に出没していた。

 

しかし、この野毛は昔から小さな飲み屋などが乱立し、雑然としているため、酒をハシゴするにはもってこいの 街だった。次郎は住みかが遠いためあまりこの辺で飲むことはなかったが、久しぶりに横浜を訪れたため、この街で夜飯にありつこう、そういう魂胆だった。

 

折しも、野毛は桜祭り。混雑していた。

 

まず一軒目に次郎が目指したのは、そんな飲み屋とは打って変わって洋食屋だった。キムラ亭と呼ばれるそこは、ハンバーグで有名な店だった。

 

カランコロン♪

 

いらっしゃいませ。人の良さそうな年配の女性給仕係が出て来た。

 

一人だ。

ぶっきらぼうに答えると、次郎は奥のテーブル席に案内された。

 

メニューをみるやいなや、

 

ハンバーグセット。ユリオカで。

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言い切った。

 

は、はい。

給仕係は意味もわからず応えていた。

 

ふん、ユリオカもわからず給仕係が務まるのか。

次郎は疑問を感じながら目を閉じた。

 

はい、お待たせしました。

まずは小さなサラダが出た。次郎へ無言で食べた。

食べ終わるころ、件のハンバーグがでてきた。

 

はい、ハンバーグでございます。

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ユリオカでね。

給仕係は意味も解さずしゃべっていた。

 

キ、キサマ、ユリオカをわかっていないな!

なのに、語るとは…呆れてものも言えん。

これでハンバーグがまずかったらわかってるだろうな。

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次郎の羅王の構えに気づかず給仕係は去っていった。しかし、次郎の危惧をよそにハンバーグはうまかった。肉厚で生卵を掛けたパテはデミグラスソースと相まって濃厚な味を醸し出していた。どこか外国風のヨコハマな感じのする味だった。

 

ちっ、許してやろう。しかし、今夜は次もあるんでな。おい、会計だ!

 

次郎は白飯を残し、金を叩きつけ、次の店に向かった。机の上は叩きつけた小銭で凹んでた。

 

カランコロン♪

 

次郎が店を出るとあたりはスッカリ暗くなり、人通りは増えていた。皆一様に笑顔だった。

 

ちっ、桜だか祭りだか知らねぇが、皆浮かれやがって。北斗神拳をお見舞いしてやるとこ…どんっ、

 

うぉうっ

 

誰だっ!

 

しかし、人混みが多くて誰がぶつかったのかわからない。

くそっ。

やるせない思いを抱えたまま小道に入った。まずみつけた焼き鳥末広。

 

くっ、劇混みじゃねーか!

長蛇の列。次郎はすぐに諦めた。

次に出会ったのは魚バルなんとか。

 

くっ、ここも並んでやがる。しかもカップルばかりか。こんな雑な街なのにカップルがウロチョロしてるとは、世も末だ。

 

さらに歩を進めると、塩もつ煮込みで有名なもつしげがあった。おお、ここは行けそうだ。

ガラガラ♪

 

あ、お客さん、受付は反対側にある二号店なんです。

ちっ、書いとけバカヤロウ!

反対側を見ると

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くそ、ここも並んでやがるのか。

ふー。三軒もダメか。流石土曜だ。

ふと、目を先に向けると、萬里。有名な餃子屋があった。

よし、ここに突っ込んでみるか。

 

ガラ♪

 

イラッシャイマセー。

中華系と思われる女性店員が出迎えた。

カウンターどーぞー。

 

機先を制された。

お、おう。

 

次郎はカウンターに座った。

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メニューが垂れ下がっている。しかし、読みづらいのでテーブルにあるメニューを広げた。

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お、小皿メニューもあるな。

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よし、これでいこう。

 

おい、ねーちゃん注文だ!

 

ハイ!

 

焼き餃子、水餃子、それに麻婆豆腐と海老の炒め物だぁ!

頼むぞ!

 

ハイ!

 

中華系はユリオカで頼まずとも速い。

 

次郎は目を閉じ…

 

ハイおまち!

 

目を閉じるまえに焼き餃子がでてきた。ここでも機先を制される次郎。

お、おう。

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はい、水餃子おまち!

間髪入れずに水餃子もお目見えした。

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どちらも、うまそうだな。まずは焼きからだ。

おもむろに餃子を、頬張った。ほぅうまいな。しかし、これぐらいなら福島県の方がうまいかもな。次は水餃子だ。

次郎はあつあつの水餃子を頬張った。

 

おぉ!これはうまい。ここは水餃子の勝ちだ。アンが濃厚だ。皮は割と厚めだがアンを邪魔しない。これはいけ…

 

はい、麻婆豆腐と海老炒めね!

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 またしても制された。

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下町に、ありそうなものが出てきたな。

麻婆豆腐はと。熱っ!おぉ、しかしいいぞ。あまり辛くもない。すでに餃子で腹一杯であまり進まないが、はじめに食べたら白飯が欲しくなるな。この海老炒めは、、、普通だな。まぁいい。

 

げぶっ

しかし腹一杯だ。 もう食えん。

 

おい、ねーちゃん会計だ!

2020円です。

 

速いな!今日は機先を制されてばかりだ。

釣りはとっときな!

きっちり2020円を置く次郎に一瞥しながらもすぐに他の客に対応する店員。

 

やるな、脱帽だ。

野毛は、楽しいな!

また来よう。次は三郎でも誘うかなぁ。

次郎は独りごちた。

 

夜も大分暖かくなった野毛の街。

次郎の頭上をどこからか、桜の花びらが一ひら舞った。

 

 

続く。

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キムラ亭と萬里@野毛

野毛の街は楽しい。洋食。中華。魚バル。うなぎ、もつ煮込み、焼き鳥。小さな店がひしめいていてハズレはあまりなさそうだ。何店舗もハシゴするのが楽しい。

キムラ亭3.3

萬里3.3

 

 

 

 

 

 

 

のもと家 とんかつ

 次郎は、しとしと降る雨の音、車が水のはった道を滑り出る音で目が覚めた。

 

雨か?

次郎はカーテンを開けた。外の道を見ると傘をさした人々が歩いている。

 

しめた!

チャンス到来だ。

次郎はいそいそと着替え始めた。

 

長蛇の列を覚悟するとんかつ屋、のもと家。こういった店は雨の日、12時前に行くに限る。

 

次郎は髪にワックスを撫で付けることもせず、鏡を見ながら水をつけた手で髪を撫で付けると、カバンと携帯を取り、外に出た。

 

雨の日は、風が強くなければ暖かい。自転車を漕ぎ青山一丁目駅に向かった。

 

この辺りはあまり店はなく、無機質なレジデンスビルが密生していた。

 

 

なんだか忘れ去られた町みてーだな。

次郎は独りごちた。

 

しかし、家賃は高いんだろう。ご苦労なこった。

 

自転車を路肩に止め地下鉄を降りた。大江戸線に乗り、大門まで向かった。

 

 

大門につくと11:55。

まずい、12時を越えると混じまうな。

次郎は一段抜かしで階段を駆け上がった。地上に出た時点で息が切れた。

 

はぁはぁ。歳はとりたくないせ。

 

ドンッ

 

お、おう!

後ろから次々とやってくる黒いサラリーマンの群れに飲み込まれそうになりながら、次郎は歩を進めた。

 

ちっ、こんなショボくれサラリーン、略してショボリーマンたちに負けてなるものか!

 

次郎は足早に件ののもと家というとんかつ家に向かった。

 

はぁはぁ、傘で道がふさがる大門の大通りを

軍隊ショボリーマンの波をかき分け進んだ。

 

おぉ、あったな。入り口はどこだ!??

 

のもと家の入り口はわかりづらく、店は二階にあった。

 

この階段か?

次郎が上がって行くと、店の前には3人並んでいた。

 

3人なら許容範囲だ。いいだろう。

程なく前の3人が入り次郎は待ち一番の誉れに預かった。

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ふー。これで、すぐに入れるな。上等上等♪

 

お客様、メニューをどうぞ。

 

おう、見せてみろ。ほう。お勧めは黒豚とんかつだな。よし、この160gのほうで。ライスは普通だ。

 

はいかしこまりました。

 

ふー。次郎は目を閉じた。程なくしてドアが開き、店内のカウンターに案内された。

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水を飲み再び目を閉じた。

 

 

はいよ。お待ち。

突如沈黙は破られた。

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どーん!

おお!!!これはいい!

中身はどん感じだ??

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おお!赤い!しかし、火がキッチリ通ってるな。ロースの脂身がうまそうだ。ヨダレが出ちまうぜ。衣もサクサクだな。

 

なになに、ここは茎わさびと鹿児島の醤油でお召し上がりくださいと。

ほう、醤油を進めるなんてわかってるじゃねーか!あぁ?

 

次郎ほ無類の醤油好きだった。

茎わさびもよさそうだな。

次郎は先にキャベツを書き込むと、早速とんかつを一切れ取り出し、醤油につけ、茎わさびを塗りつけた。そして。一気に口に放り込んだ。

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ほ、ほほぅ。これはうまい!やはり醤油だな。茎わさびもいいぞ。しかし、何よりこのロースの脂身がうまい。切れもいい。んー、幸せだ。これはいい点とるな!やりやがる。同じ大門にあるアオキもうまいが、ひょっとするとこっちの方が上か!

 

むしゃむしゃ♪

 

おお、豚汁もいいな。

 

むしゃむしゃ♪

 

ゲフッ

 

ふー、食ったなぁ。

 

よし、会計だ。これは相当満足したぞ。空いてるなら再訪間違いないな。

 

かっかっかっ♪

 

じゃあな者ども。次郎は勢いよく店の扉を押したが、引くほうだった。

 

お、おう。機先を制された次郎だったが、そそくさと扉を引き、大門の町にでた。

 

増上寺の鳥居が雨に濡れて風情があった。

この辺は和が合うな。

 

 

春の静かな雨が町をボンヤリと光らせていた。

 

続く。

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のもと家@大門

うまい!ロース肉が絶品。素晴らしい絶妙な脂の量の肉。火もしっかりと通っているのに柔らかい。衣はサクサク。つけダレは醤油と茎わさび、これがまたうまい!列のできない雨の日のランチ12時前か、夜か。それが問題だ。

4.0次郎

 

 

 

 

角屋② 日本酒バー

世間はホワイトデーか。

浮かれやがって。

 

次郎は三月も半ばに入ったにもかかわらず、深夜から雪予報の東京であった。

 

一旦あたたくなってからの冷え込みは次郎の心までも凍て付かせた。

 

くそ、なんだ人が恋しいのか俺は?あぁ?

次郎は曇り空に向かって叫んでみたが、答えは返ってこない。

 

そして、ことごとく赤信号にひっかかった。

ふん、赤信号までも俺を阻むのか。なんだコラッ?あ??いつまでも現状に止まれってか?あぁ?

 

赤信号に向かって文句をつけてみたが、返事はなかった。

そうこうしているうちに青になった。気がつけば西麻布の交差点だった。

いつのまにか歩いちまったな。さぶいし、このまま帰るのもなんだかな。

ふむ、よし、ここは角屋に世話になるか!

次郎は足速に西麻布の交差点を渡り、小道の奥へと入っていった。

 

ガラガラ♪

 

あら函さん。

 

おう。

 

一人っすか?

 

あぁ、今夜は一人だよ。座れる席はあるかい?一人でもな!

 

今夜はどこまでもやさぐれる次郎。

 

ありますよ。次郎さんの特等席。

ふ、うまいことを言う。優しさが身にしみるぜ。

 

ありがとよ。じゃ、熱燗もらうか!

 

はいよ♪

 

程なく熱燗がきた。

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ほう。読めないが、うまそうだ。

 

ぐびっ。

 

む。上手い。スッキリ辛口?

いやスッキリとしてふんわり甘い香りが漂っている。うまいな。

 

大将、うまいな。

 

ありぁたす!

 

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はい、春雨サラダ!

んー、酸っぱくてうまいな!

 

はい、じゃこサラダ。

次郎さん野菜ばっかっすね!笑

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まずは野菜からが基本だよ明智くん。ははははほは!

次郎は早くも酔いが回ってきた。

 

よし、新しいのたのむよ!

 

はいよ!

 

それと、麻婆豆腐!

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はい、山本です。

 

お?たしか君も山本だろう!

 

そうなんす。笑

 

さぞうまいんだろうね。

 

間違いないすね。

 

ぐびぐびっ!

ん!華やかでスッキリ飲みやすい!気に入ったわ!

 

ぐびぐびっ!

 

はい、麻婆豆腐です。めしもつけときましたー

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おおっ!にくいね!やるな!

まーぼーもいいね!山本くん!

 

ぐびぐびっ!

 

いい飲みっぷりっすね!

 

はははっ!

そうだろう!

もう一合いこう!

 

はははっ!

 

さすがっす!

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はい、次郎さん。

 

 

はははっー! 

 

いいね!

ぐびぐびっ!

 

 

はははははっ! 

 

 

ぐびぐびっ!

 

 ははははっ!

 

ぐびぐびぐびぐびーー!

 

 

西麻布の夜は更けていった。

 

 

続く。

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 角屋②西麻布

大将の出すうまい小皿料理と、日本酒ソムリエ山本さんの出すうまい日本酒のコラボ。通うこと必至。コスパも良し!

 

3.9次郎